「痛いの痛いの、飛んでけ」は言わない、やる気スイッチより「楽しさスイッチ」、絵本を「1万冊」読み聞かせる、すべての基礎は「1けたの足し算」……。4人の子どもを全員、東京大学に合格させたことで注目を集めた佐藤亮子さん。著書『一点集中 ムダ取り勉強法』は、そんな佐藤さんが実践してきた子育て法、勉強法を一挙公開した一冊です。その中からぜひ実践したいノウハウを、みなさんにご紹介します。
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おもちゃは大人が片づければいい
「小さいころから整理整頓を教えましょう」とよく言われます。片づける習慣をつけるためだそうです。
1つのおもちゃで遊んだ後、違うおもちゃで遊びたくなったら、最初のおもちゃを片づけてから次のおもちゃを出すように教える方がいるとも聞きました。
すばらしいとは思いますし、部屋が散らからなくていいので親はラクとは思いますが、反面、「子どもはつまらないだろうな」と感じてしまいます。
私は子どもにおもちゃを片づけるように言ったことはありません。おもちゃは大人が片づければいいと思っています。
子どもがおもちゃで遊ぶ時間というのは一生のうちでごく短い期間です。その時間の一部を片づけの時間に充てるのはもったいないと思うからです。
私はおもちゃをプラスチック製の大きな衣装ケースにまとめて入れていました。衣装ケースは多いときで4つはあったと思います(ただ、レゴブロックだけは、これだけでしか遊ぶことができないので分けて収納していました)。
2~3歳のころ、子どもはおもちゃで遊びたくなったら、おもちゃ箱のある場所まで行き、身の丈ほどもあるケースを全部、縦向きにひっくり返して床にぶちまけ、そこから遊びたいおもちゃを取り出して遊んでいました。
ミニカー、積み木、ぬいぐるみ、おままごとセット……。いろんな種類のおもちゃの海の中で、自由自在に遊んでいました。
ぬいぐるみとミニカー、「プラレール」など、まったく違う分野のものを組み合わせたり、自分で何やら物語を創作して、おもちゃに語りかけたりしながら無心に遊ぶ姿を見ていると、子どもたちが頭の中でいろいろと空想の翼を広げていることがわかり、大人にはもう持つことができない自由さが羨ましいと思いました。
一心に遊ぶ感覚を大事にする
大人は効率を考えるので収納場所から何かを出すときに必要なものしか出しません。するとその範疇でしか物事を考えられなくなります。子どももブロックだけ、ままごとだけというように1つのおもちゃだけで遊ぶなら、限定的にしか想像の翼を広げることができないのではないかと思うのです。
私は心というものは境界線のない広々とした世界の中で育っていくものだと思っています。特に幼児期は何にも邪魔されずに一心に遊ぶ感覚を大事にしてほしいと思ったので遊んだ後、あえて片づけの時間を設けませんでした。
片づけは、子どもが遊び終わったときに私がチリトリでおもちゃをざっくりとすくって、衣装ケースに戻すだけ。おもちゃ片づけ専用のチリトリを1つ用意していました。細かく分類することが苦手な私にぴったりの方法です。
時々、遊び終わったかと思って片づけたら、またやってきて衣装ケースをひっくり返して遊び始めることもありましたが、それも笑って見ていました。
もし、遊んだ後に片づけないといけないとわかっていたら、子どもはこんなに大胆に遊ぼうとはしないでしょう。
それに、子どもの小さな手でおもちゃを分類して収納していたらとても時間がかかり、親も見守らなくてはいけないので時間と手間がかかりストレスにもなります。ここはやはり、チリトリでざっくりとすくう方式がラクなのです。
小さいときに習慣づけないと、大人になって整理整頓ができないという心配は無用です。必要に迫られれば片づけの習慣は身につくものです。
わが家の子どもたちは学生時代、マンションを借りて共同生活をしていました。テキストや部活のユニフォームや用具などでだんだん部屋が狭くなってきたとき、相談して片づけを決行したそうです。
日にちを決め、分類して捨てる担当、収納用品を買う担当、洗剤を買う担当、などと役割を決め1日かけて大掃除したそうで、部屋がスッキリしたと報告がありました。だから子ども時代に片づけを無理やり習慣にしなくても大丈夫なのです!
人生にはその時期にしかできないことがあります。
おもちゃで遊べる時期には心ゆくまで遊ばせてあげましょう。
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