「痛いの痛いの、飛んでけ」は言わない、やる気スイッチより「楽しさスイッチ」、絵本を「1万冊」読み聞かせる、すべての基礎は「1けたの足し算」……。4人の子どもを全員、東京大学に合格させたことで注目を集めた佐藤亮子さん。著書『一点集中 ムダ取り勉強法』は、そんな佐藤さんが実践してきた子育て法、勉強法を一挙公開した一冊です。その中からぜひ実践したいノウハウを、みなさんにご紹介します。
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「楽しさのスイッチ」をつくろう
「うちの子、勉強しなくて。どうしたらやる気になりますか」
という質問を何度受けたことでしょう。やる気スイッチを押すと子どもが急に勉強しだすというテレビコマーシャルがあったためか、何かちょっとしたきっかけがありさえすれば子どもは机に向かって意欲的に勉強しだす……というイメージを描いている保護者が多いようです。
しかし、それはかなわない夢であることもわかっていらっしゃるのではないでしょうか。今まで勉強の習慣がなかったのに、急に勉強しだすのはドラマや物語の中での話、またはごく稀な例ではないかと思います。
ただ、1つだけスイッチがあるとしたら、それは「勉強は楽しいんだ」と体感することからパチンと入るのではないかと思います。人はやって楽しいことには一生懸命になれて飽きることがありません。大人も同じですが、人は楽しいと思うことには誰かに強制されなくても自然と自分でスイッチを入れるものです。
「勉強は楽しいんだ」と思うきっかけを作れば、その都度言わなくても自然に勉強を始めます。
ですから親の仕事は「楽しさのスイッチを作ること」なのです。
楽しさ作りの1番目は「とりかかりやすさ」を考えることです。
勉強の一番高いハードルは「とりかかり」です。
たとえば、5歳ぐらいの子どもにとって大きなサイズのドリルはそれだけで恐怖を感じて尻込みしてしまいます。小学校1年生にとって、とても小さく文字も小さい問題集は難しそうに思えて書き込むことを躊躇してしまいます。
一番適しているのが小学校のテスト用紙の大きさ(B4判)です。こちらで1けたのたし算プリントを作る方法を紹介しますが、これもB4判が適しています。
勉強は寝そべってしてもいい
また、難しすぎる問題を与えているととりかかりにくくなります。難しい問題をやっと解いて満足感を覚えるのはだいぶ大きくなってから。難しいとわかっていることにはなかなか前向きに取り組むことはできません。
勉強する前に、筆箱の中を触っていたり、なかなかノートを開かなかったり、机に向かったかと思うと冷蔵庫を開けてみたりするなら、勉強の難度がそのお子さんに適しているかを見てあげ、難しすぎる場合はレベルを下げてすらすらできる内容にしましょう。
すらすらできるなら楽しく勉強でき、次のステップに意欲的に進むことができます。
“勉強は机の前に座ってする”常識も捨てたらいいでしょう。わが家ではリビングに冬にはこたつになる座卓があり、夕飯が終わると子どもたちはそこに座って問題集を広げていました。ときには寝そべって問題を解いていることもありました。
私は「机でしなさい」と言ったことは一度もありません。勉強の場はどこでもいいと思ったからです。
子どもたちは座ったり寝そべったりして問題を解いていますが、そのうちに本気モードになるのか気分転換なのかわかりませんが、机に移動して勉強を始めていました。もちろんそのまま座卓で勉強しても寝そべったままでもかまいません。
また、ドリルにシールを貼ったり、きれいな色のマーカーでラインを引いたり、あるときは鉛筆ではなく、クレヨンや色鉛筆で答えを書いてもいいことにしていました。
家ではそれができるので子どもたちは大喜びします。学校ではできない、家庭学習ならではの楽しみです。
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