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アルパカ通信 幻冬舎部

2023.11.27 公開 ポスト

神津凛子『わたしを永遠に眠らせて』/脇屋友詞『厨房の哲学者』- 壮絶な人生を描いた小説とノンフィクション!アルパカ内田(ブックジャーナリスト)/コグマ部長

幻冬舎営業部 コグマ部長からオススメ返し
脇屋友詞『厨房の哲学者

重要なのは、何かを選ぶこと。選ばなければ、
人生は始まらない。選ばざるを得なかった
仕事に黙々と熱狂する。運命に従え。道は
開ける。もがき苦しんだ50年の軌跡。
中国料理とは何か? その壮大な謎に答える!
中華の巨匠・脇屋シェフ、圧倒的自伝。

一方こちらは、料理人・脇屋友詞の自伝。今や日本の中華料理界のトップに君臨する脇屋だが、その料理人生活は中学卒業と同時に始まった。卒業時、進学ではなく就職したのは学校で自分だけだった。いきなり放り込まれたのは赤坂の名店「山王飯店」。当時は今よりもさらに厳しい徒弟制度があり、先輩が作って残った料理をこっそり食べて味を舌に覚えさせた。

最初の仕事は中華鍋を洗うこと。来る日も来る日も洗うだけ。高校に進んだ友達は遊んだり、恋愛を楽しんだりしている。当然、辞めようと何度も思った。やがて先輩の中国人料理人に

認められ、少しずつ仕事を任されるように。それでもまだ迷うときもあったが、ある日こんな言葉と出会う。

「この道より我を生かす道なし。この道を歩く」

本作を読むと、脇屋は必ずしも天賦の才に恵まれたシェフではないことがわかる。強いて言うなら、努力を続けられる天才だ。もちろん成功ばかりのシェフ人生ではない。手にした栄光の陰にはもっと多くの挫折があった。でも、脇屋はひたすら地道な努力を続ける。その姿こそが孤高の哲学者のようである。

本作は料理人のみに通じるノンフィクションではない。夢を見るだけなら誰でもできる。大切なのは努力を続けられるかどうかだ。脇屋は50年、そんな努力を続けている。

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アルパカ通信 幻冬舎部

元カリスマ書店員で、POP職人でもある、ブックジャーナリストのアルパカ内田さんが、幻冬舎の新刊の中から、「ぜひ売りたい!」作品をピックアップ。
書評とともに、自作の手描きPOPも公開。

幻冬舎営業部のコグマ部長からの「オススメ返し」もお楽しみください!

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アルパカ内田 ブックジャーナリスト

内田剛(うちだたけし)。ブックジャーナリスト。約30年の書店勤務を経て2020年2月よりフリーランスに。NPO法人本屋大賞実行委員理事で創立メンバーのひとり。文芸書をメインに各種媒体でのレビュー、学校や図書館でのPOP講習会などを行なっている。これまでに作成したPOPは6000枚以上で著書に『POP王の本!』『全国学校図書館POPコンテスト公式本 オススメ本POPの作り方(全2巻)』あり。無類のアルパカ好き。
Twitter @office_alpaka

コグマ部長

太田和美(おおたかずみ)。幻冬舎営業本部で販売促進を担当。本はミステリからノンフィクションまでノンジャンルで読みまくる。アルパカ内田(内田剛)さんとは同学年。巨人ファン。
Twitter @kogumabuchou

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