
幻冬舎営業部 コグマ部長からオススメ返し
脇屋友詞『厨房の哲学者』

人生は始まらない。選ばざるを得なかった
仕事に黙々と熱狂する。運命に従え。道は
開ける。もがき苦しんだ50年の軌跡。
中国料理とは何か? その壮大な謎に答える!
中華の巨匠・脇屋シェフ、圧倒的自伝。
一方こちらは、料理人・脇屋友詞の自伝。今や日本の中華料理界のトップに君臨する脇屋だが、その料理人生活は中学卒業と同時に始まった。卒業時、進学ではなく就職したのは学校で自分だけだった。いきなり放り込まれたのは赤坂の名店「山王飯店」。当時は今よりもさらに厳しい徒弟制度があり、先輩が作って残った料理をこっそり食べて味を舌に覚えさせた。
最初の仕事は中華鍋を洗うこと。来る日も来る日も洗うだけ。高校に進んだ友達は遊んだり、恋愛を楽しんだりしている。当然、辞めようと何度も思った。やがて先輩の中国人料理人に
認められ、少しずつ仕事を任されるように。それでもまだ迷うときもあったが、ある日こんな言葉と出会う。
「この道より我を生かす道なし。この道を歩く」
本作を読むと、脇屋は必ずしも天賦の才に恵まれたシェフではないことがわかる。強いて言うなら、努力を続けられる天才だ。もちろん成功ばかりのシェフ人生ではない。手にした栄光の陰にはもっと多くの挫折があった。でも、脇屋はひたすら地道な努力を続ける。その姿こそが孤高の哲学者のようである。
本作は料理人のみに通じるノンフィクションではない。夢を見るだけなら誰でもできる。大切なのは努力を続けられるかどうかだ。脇屋は50年、そんな努力を続けている。
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アルパカ通信 幻冬舎部

元カリスマ書店員で、POP職人でもある、ブックジャーナリストのアルパカ内田さんが、幻冬舎の新刊の中から、「ぜひ売りたい!」作品をピックアップ。
書評とともに、自作の手描きPOPも公開。
幻冬舎営業部のコグマ部長からの「オススメ返し」もお楽しみください!
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