英会話、資格の勉強、ダイエット、禁煙など、始めたいのにできない人には共通の傾向がある……! 行動科学マネジメントの第一人者、石田淳さんが誰がやっても成果を出せる実践的メソッドで「始め方」を指南する幻冬舎新書『始める力』より、一部を抜粋してお届けします。
「極める」時間は誰にもない やればその分差がつく「始める力」
なにかを始めようとするとき、それが仰々しいものである必要はありません。立派な態度で臨む必要もありません。ちょこちょこ始めてすぐに撤退したっていいし、途中で尻尾を巻いて逃げ出したって構いません。
「何事も中途半端にやってはいけない」などと、訓辞を垂れる人がときどきいます。極めるまでやる覚悟がないなら、安直に手を出すなと言うのです。
でも、そういう人に限って、実際には自分自身が「始められていない」ことが多いように思うのですが、どうでしょう。自分が「始めていない」言い訳を正当化して、他人に押し付けているようにしか、私には思えません。
「今さら、そんなことしたって無意味だって」
「あと、10年早けりゃね。おまえ、いくつになったんだよ」
あなたの周りに、こんなことを言って足を引っ張る人がいても、あなたにやりたいことがあるなら、そんな言葉は無視して構いません。
そもそも、忙しい現代人に「物事を極める」時間などありません。極めなくたって、中途半端にやるだけだって、なにもしない人よりも確実にスキルはアップしていきます。
たとえば、自分の仕事に関する本を10冊読んだのなら、それだけでも自分をほめてあげていいでしょう。
今、リーダーシップについて悩んでいるマネジャーは多いけれど、実際にリーダーシップに関する本を10冊読んだ人は、私が会っている限り、そういないものです。だからこそ、読んだ人はほかと大きく差がつきます。
あるいは、月に1回しかやらないゴルフだって、まったくやったことがない人よりは知識も経験も醸成されます。
月にたった一度であっても、ゴルフを実際に自分がする前とした後では、テレビ中継でやっている試合の見方も根本的に変わります。どちらが楽しいかは言うまでもありません。見えてくる細部が段違いに増えるし、理解も深まり、プレーヤーの気持ちも、わかってくるものです。最終的に、プロのプレーを見て気づけたことを、次回の自分の練習に生かすこともできます。それが、自分の成長にどれだけ価値のあることか、言わなくてもわかりますね。
「やらなくちゃ。でもちゃんと取り組む時間がない」
「また中途半端で終わってしまった。意味がないことをした」
こうしたジレンマは、今日からきれいに捨ててください。
その発想が、あなたを苦しめていただけなのですから。
この世で、人々が行っていることのほとんどは中途半端。中途半端、大いに結構ではありませんか。
5分できれば充分すごい! 「5分の価値」を変えよ
「ビジネスで必要な英会話の勉強をしよう」
「健康維持のために運動をしよう」
「料理下手から抜け出すためにレパートリーを増やそう」
「今度こそやせよう」
「禁煙しよう」
「本気で婚活しよう」
多くの人が、これまで何度も、新しくなにかを始める決意をしたことでしょう。
新年を迎えるたびに「今年こそ」と誓う人もいるでしょう。それなのに、毎年「今年こそ」で終わってしまうのは、決意するだけで一向に「始められない」からです。
人がなにかを始めることを阻害している要因については次の章で検討していきますが、そもそも現代人には、時間が不足しています。
ビジネスパーソンであれば、朝から晩まで会社に縛られ、家に帰ったときにはぐったり。週末も、やり残した仕事を片づけたりしているうちに終わってしまい、「とても新しいことを始める時間などない」というのが実情でしょう。連絡手段も、電話、メール、LINE、ツイッター、フェイスブック……といくつもあって、その対応だけで何時間も費やしてしまうことになります。
しかし、そうした中でも、確実に行動に移せている人はいます。たとえば、会社をいくつも経営しながら、勉強もスポーツも続けている成功者や、責任あるプロジェクトを任されている人が、趣味でもプロ級の腕前を見せるような例を、私はいくつも知っています。
1日24時間という条件はみな同じ。いかに、そこから要領良く「始める時間」をひねり出すかが勝負です。
私は、「5分できれば充分すごい」と考えています。
一日5分、英会話のテープを聴く。
一日5分、スクワットをしてみる。
一日5分、専門書を読む。
一日5分、近所を歩く。
これだけで、かなりすごいと思いませんか?
「たった5分くらいじゃ、やってもやらなくても同じでしょ」
もし、こんなセリフがあなたの口をつくなら、それは言い訳する材料を探しているだけ。
だって、考えてもみてください。毎日続けると、これはどんな数字になるでしょうか。1日5分を365日やれば、1,825分。30時間以上になります。英会話教室にしろ、スポーツクラブにしろ、1時間のレッスンを30回受けたのと、なにもしなかったのでは違いますよね。
私たちに与えられた最大の財産は時間。「なにかを始める」というのは、大事な5分の価値を大きく変えることなのです。
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始めかたや行動科学マネジメントについてもっと詳しく知りたい方は、幻冬舎新書『始める力』をお求めください。
始める力
英会話、資格の勉強、ダイエット、禁煙など、始めたいのにできない人には共通の傾向がある……! 行動科学マネジメントの第一人者、石田淳さんが誰がやっても成果を出せる実践的メソッドで「始め方」を指南する幻冬舎新書『始める力』より、一部を抜粋してお届けします。