英会話、資格の勉強、ダイエット、禁煙など、始めたいのにできない人には共通の傾向がある……! 行動科学マネジメントの第一人者、石田淳さんが誰がやっても成果を出せる実践的メソッドで「始め方」を指南する幻冬舎新書『始める力』より、一部を抜粋してお届けします。
「できないかも」より「できそうだ」で始めてみる
ただの平地で走り幅跳びしたら3メートル先まで跳べる人でも、高いビルの屋上から2メートル先のビルの屋上に跳び移ろうとしたら身がすくんで動けなくなります。「落ちるかも」と思うからです。
なにかを始めるときに、「できないかも」と思ってしまうのは非常に損なことです。実際にできるかできないかはやってみなければわかりません。でも、やってみるそのスタートにおいて腰が引けていては、本当ならできることでも失敗してしまうでしょう。
だから、どんなことに対しても「できそうだ」という気持ちで臨むに限ります。
この、「できそうだ」という気持ちのことを、心理学の専門用語で「自己効力感=セルフエフィカシー」といいます。
あなたがなにかを始めるに当たっては、自己効力感をいかに高められるかが大きなポイントになります。
私自身、1か月先の締め切りが「守れそうにない」と感じることもある一方で、3日間で終わらせなければならないハードな仕事でも、根拠はないけれど「できそうだ」と感じることがあります。
そして、「できそうだ」と感じたことは本当にできるため、次の大きな自信を生み出してくれます。
自己効力感を高める4つの法則
では、あなたが自己効力感を持つために、具体的になにが必要なのでしょうか。
自己効力感が生まれる理由として、専門的には以下の4つが挙げられます。
- 1 自己の成功経験
- 2 代理的経験
- 3 言語的説得
- 4 生理的状態
「自己の成功経験」とは、まさに「やったらできた」という経験です。過去に同じようなことをやってできた経験を持っていれば、「今度もできそう」と感じられます。
ということは、普段からいかに成功体験を積むかが大事で、そのためにも小さなことから始めたほうがいいのです。
フルマラソンを走りたい人でも、いきなりそれをやらずに「1キロ走れた!」「2キロ走れた!」という確実な成功体験を積めば、自己効力感は高く維持できます。
「代理的経験」とは、自分でなくても他人がやってできた様子を見ることです。とくに、自分と同じ程度だと思っている人がやってできたことなら、「自分もできそう」と感じられます。
だから、普段からあまり立派な人ばかりでなく、内心「大したことないな」と思えるような人に着目してみることも重要なのです。
「言語的説得」とは、誰かから「あなたならできる」と言ってもらうこと。親や先生や上司などが言った何気ない一言で、大きな自信を持てることがあります。
私は、ある教育雑誌で長く対談連載を持っていますが、対談相手として登場する成功者の多くが、同じようなことを言います。
「子どもの頃に、好きな先生から言われた一言で勇気づけられ、今の道を選んだ」
先生にしてみれば、それほど深い意味を持って言ったのではないかもしれません。おそらく、言ったことすら覚えていないでしょう。それでも、本人がそれを力にできればいいのです。
「生理的状態」とは、気持ちのいい状況が得られていること。つまり、それをやることで達成感を得たときなど、自己効力感は高まり、どんなことでもやろうという気持ちになっていきます。
だからこそ、どんなことでも面白がって始めるというのが大事なのです。「なにかを始めること自体が面白い」と思えたら、なんだってできます。
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