竹内さんにとって登山は自然なこと。
小林 こうして竹内さんのことを書かせていただいて、取材などで「なぜ、彼だけが14座を完全登頂できたと思いますか?」と聞かれることがあるんです。もちろん、答えは分かりませんが、ひとつ、思うことがあります。僕は旅行に行くときとか、前の晩に急に行きたくなくなるんですよ(笑)。竹内さんはどんな山に行くときも、まったくそんなことはないと言う。「何で?」と。もちろんそれだけじゃないけど、そういうメンタルの部分が大きいと思います。14座の登頂って、14回の挑戦では登れないですよね。それを繰り返すことを支えていた部分は、自分で意識できない、自然なことじゃないですか。だから続けておられるのかなと想像しました。
竹内 行く直前になって、もうちょっと早く準備をしておけばよかったというのはありますね(笑)。ただ、私は行きたいところにしか行っていないから苦痛を感じていないんですよ。行きたくないところに行けと言われたら苦痛です。私は海が嫌いなので(笑)。
小林 今回、登山をやられている方はもちろんですけど、登山をやらない人が読んでもおもしろいな、という風にしたいなというのが、作っているときにありました。竹内さんが言葉にすることは登山に限らず、普遍的な広がりがある気がしていて。それが届けばいいなあと思います。