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ストレスと適応障害

2024.07.10 公開 ポスト

ストレスが脳神経を壊す!容量オーバー型のうつ・適応障害の徴候とは岡田尊司

会社に行きたくない、不安やイライラが増えた、自信がなくなった……。そんなあなたの心のトラブル、もしかしたら「うつ」ではなく「適応障害」かもしれません。精神科医・岡田尊司さんの『ストレスと適応障害』は、いま急増している適応障害の特徴と、すぐに実践できる対処法をわかりやすく紹介。一部を抜粋しますので、心が疲れていると感じている方はお早めにご覧ください!

ストレスが脳神経を壊す!容量オーバー型のうつ・適応障害

容量オーバー型のうつや適応障害は、その人にかかるストレスや負担が、対処できる容量を超過することによって起きる。対処できる容量は、疲労や睡眠不足が蓄積すると、ますます小さくなる

そのため、ある限界点を超えると急速に容量オーバーが進み、自然に均衡を取り戻すことは期待しがたい。できるだけ早く休息をとったり、ストレスから解放されない限り、適応障害やうつ、心身症のデッド・スパイラルに陥っていくことになる。

過労によるうつという場合には、ほとんどのケースにみられる状況である。一方で睡眠や休息が不足し、他方でその人にかかる負荷が過剰な状態が続いている。多くのケースで、就労時間が長い状態がずっと続いている。本来休みである土曜日や日曜日も休みがとれないというケースも多い。

こなしきれないほどの仕事を抱えているうえに、さらに期限つきの仕事を押しつけられるという状況が何度も加わって、ついに潰れてしまうというのが典型的だ。

 

1、2週間であれば、ストレス・ホルモンが放出されることによって、脳や体の活動性を高め、負荷が増大した状態を乗り越えることができる。

しかし、さらに長期間同じ状況が続くと、ストレス・ホルモンが今度は脳の神経細胞を障害する方向に働き始める。神経細胞は萎縮したり、死滅したりし始める。

また、神経伝達物質の枯渇も起きてくる。いくら鞭打っても、伝達物質自体が尽きてしまっては、脳も体も思うように動かなくなってしまう。

こんなサインがあったら要注意!
「容量オーバー」の徴候とは

通常は過労と睡眠・休息不足という両面からの負荷が増大することによって、容量オーバーはさらに強まることになる。

疲労によって脳の処理能力が低下すると、ますます容量オーバーは深刻になり、泥沼に陥る。だが、この泥沼から抜け出すためにはどうしたらいいのかさえ、判断がつかくなくなってしまう

容量オーバーが起きてくると、段々と疲労が蓄積し始める。疲れが残る朝がつらい以前ほど仕事に対して新鮮な意欲や興味がもてないといった状態は、容量オーバーが起きている徴候である。

集中力や能率が低下する判断力が鈍くなる人と顔を合わすのが面倒になる電話が億劫になる、しなければいけないとわかっていることをつい後回しにしてしまうといったことも重要なサインだ。

そうした場合には、無理に仕事を続けるよりも、思い切って早めに仕事を切り上げたり、休みをとってリフレッシュしたほうが、擦り切れてしまうのを防ぐことにつながる。

 

容量オーバー型の適応障害やうつを予防するうえで、一つ大事なことは、情報入力を少しでも減らす努力をすることである。脳が容量オーバーを起こしているうえに、遅くまでテレビやネットをしてしまっては、ますます情報負荷が過剰になって、容量オーバーを悪化させてしまう。

ネット依存の人にうつが起きやすいのも、その要因の一つとして容量オーバーに拍車がかかるためと考えられる。

 

疲労気味なときには、音楽、映像などの情報入力を減らして、脳を休めるように努める。5分くらいの合間の時間、目を閉じて神経を休めるだけでも、活動し続けるのに比べると容量オーバーを防ぐのにとても有効である。

休憩をまめにとって、ぶっ続けで仕事をしないようにする。そうしたことに気をつけるだけでも、かなり違うものだ。

関連書籍

岡田尊司『ストレスと適応障害 つらい時期を乗り越える技術』

うつの患者は百万人以上いるが、実はその多くは「適応障害」である。環境の変化になじめなかったり、対人関係がうまくいかずに生じる心のトラブルで、自信や意欲がなくなったり、体調不良、不登校、出社困難、依存症などの問題として表れる。過敏な人だけでなく、人一倍前向きな人もかかる、もっとも身近な精神疾患だ。「うつ病」と誤診されて治療すると余計に悪化し、長引く場合も。ではどうすれば改善するのか? どうにもならない問題や悩みを抱え込んだとき、いかに対処すればいいのか。すぐに実践できる方法を、百戦錬磨の専門医がわかりやすく紹介。

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岡田尊司

1960年、香川県生まれ。精神科医、医学博士。東京大学哲学科中退。京都大学医学部卒。同大学院高次脳科学講座神経生物学教室、脳病態生理学講座精神医 学教室にて研究に従事。現在、京都医療少年院勤務、山形大学客員教授。パーソナリティ障害治療の最前線に立ち、臨床医として若者の心の危機に向かい合う。 

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