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アルパカ通信 幻冬舎部

2024.08.25 公開 ポスト

下村敦史『全員犯人、だけど被害者、しかも探偵』/清繭子『夢みるかかとにご飯つぶ』- やっぱり小説が好き!…なあなたのための2作アルパカ内田(ブックジャーナリスト)/コグマ部長

幻冬舎営業部 コグマ部長からオススメ返し
清繭子『夢みるかかとにご飯つぶ

最初の夢は、「黒柳徹子になる」だった。そ
れがまあ、いろいろあって会社を辞めて小
説家を目指すことに!「好書好日」の連
載、「小説家になりたい人が、なった人に聞
いてみた。」が話題のライターが、エッセイ
ストになるまでのお話。

一方、こちらは小説家を目指す女性ライターによるエッセイ。

著者は17年間勤めた出版社を39歳で退職。その理由は「小説家になるため」! ライターをしつつ、小説を書くのだという。在職中に小規模ながら文学賞も獲得してはいたものの、それでもかなり思い切った選択だった。

二人の子どもはめちゃくちゃ可愛い。子育てしながらだって小説は書けるはず、だった。が、なかなか思うようにならなくて、入学式の朝、怒鳴って泣かせてしまい落ち込んだ。文学賞には、何度応募しても選考を通過できない。その上、ある人に「子どもを産んだ人はいい小説が書けない」と言われて唖然としたことも……。

そんな挫折や失敗や苦い思い出が全然暗い話にならずに、なぜだか面白ネタのように楽しく読めてしまうのが本作の読みどころ。全体を貫く壮大な明るさは著者の人間力のたまものであろう。

多くの人は「ここではない何処かで自分はもっと輝けるはず」と思いつつも、なかなか一歩を踏み出せない。溜息をつきながら昨日と同じ今日を過ごした人もいるはずだ。そんな中、思い切って自分の道を進む著者の挑戦に読者は心打たれる。「清繭子」の小説が店頭に並ぶその日が、今から楽しみでならない。

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アルパカ通信 幻冬舎部

元カリスマ書店員で、POP職人でもある、ブックジャーナリストのアルパカ内田さんが、幻冬舎の新刊の中から、「ぜひ売りたい!」作品をピックアップ。
書評とともに、自作の手描きPOPも公開。

幻冬舎営業部のコグマ部長からの「オススメ返し」もお楽しみください!

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アルパカ内田 ブックジャーナリスト

内田剛(うちだたけし)。ブックジャーナリスト。約30年の書店勤務を経て2020年2月よりフリーランスに。NPO法人本屋大賞実行委員理事で創立メンバーのひとり。文芸書をメインに各種媒体でのレビュー、学校や図書館でのPOP講習会などを行なっている。これまでに作成したPOPは6000枚以上で著書に『POP王の本!』『全国学校図書館POPコンテスト公式本 オススメ本POPの作り方(全2巻)』あり。無類のアルパカ好き。
Twitter @office_alpaka

コグマ部長

太田和美(おおたかずみ)。幻冬舎営業本部で販売促進を担当。本はミステリからノンフィクションまでノンジャンルで読みまくる。アルパカ内田(内田剛)さんとは同学年。巨人ファン。
Twitter @kogumabuchou

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