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神様と暮らす12カ月 運のいい人が四季折々にやっていること

2024.12.31 公開 ポスト

拍手(かしわで)で邪気を祓い、鈴で神様を呼ぶ。「いい音」には「清めの力」がある!桃虚(神職/ライター)

前回、二礼二拍手一礼について学びましたが、神社にある鈴、パンパンと打つ「拍手(かしわで)」のこと、ちゃんと知ってますか?

新刊神様と暮らす12カ月 運のいい人が四季折々にやっていることから教えていただきましょう!

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拍手で邪気を祓い、鈴で神様を呼ぶ。神様と音の密接な関係

二礼二拍手一礼にはもうひとつ、「拍手(かしわで)がうまくなる」という効果もあります。もちろん最初は「ぺちっ」とした音が出がちですが、手のひらと手のひらを合わせる瞬間に気を集中させ、強くもなく、弱くもなく、ちょうどよい圧で手を打つようにすると、ある日突然、よく通る音が鳴るようになります。

「それ、誰が得するんですか」と思うかもしれません。が、これがとても快感で、気持ちがすっきりします。そして繰り返しているうちに、空間の邪気を一掃して清める、鼓のような音が出せるようになってきます。拍手は年季が入れば入るほど上手くなるので、拍手歴50年のおじいさん神職が打つ拍手は、ぽん、とまろやかで、それでいて場の空気を一瞬で清める力を持っています。

(イラスト:宮下 和)

意外と知られていませんが、「音」は清めの重要な要素なのです。

神社では、「清め」がすべてに優先されます。神事のはじまりにはかならず「清め」が、かなりの時間と手間を割いて行われます。水で物理的に手や身を清め、木の葉や紙で作った祓串(はらえぐし)で見えない邪気を祓い、さらに塩、酒、火で空間を清める。そして、音でも清めるのです。

お賽銭(さいせん)箱の上からぶらさがっている鈴のことを、神様の呼び鈴のようなもの、と思っている方も多いかもしれません。もちろんそれも間違いではないですが、もともとは、鈴の音によって参拝者自身を含むその「場」を祓い清めるものとして、そこにあります。

(イラスト:宮下 和)

熊の出る山に入る時、私たちは熊除けの鈴を持ちますよね。僧侶が山を巡行する時に持つ錫杖(しゃくじょう)も、鉄や銅の輪が複数ついていて、それが触れ合うことで音が鳴るしくみです。音によって害獣や災難を追いはらう。私たちは祓いの手段として「音」を使ってきたのです。

拍手は、鈴や錫杖といった物がなくても、体ひとつで祓いの音が出せる手段。それが儀式の中で作法化し、ぽん、という音によって、その場を祓い清めるという機能を持ったのではないかと思います。

みなさんは、大相撲を見に行ったことがあるでしょうか。テレビ観戦でもよいので、一度、取り組み前の関取の所作をよく観察してみてください。

彼らは土俵に上がると、蹲踞(そんきょ)して、揉(も)み手をし、拍手をひとつ打ち、両手を上に向けて肩の高さまで上げ、手のひらを下に返すという「塵手水(ちりちょうず)」という作法をしています。これは、その昔、手水がないときに、代わりに草や空気で身を清めたことが由来です。そして、力士が拍手を打つ、という行為は、「音で“場”を清める」ということなのです。“場”には自分も、取り組み相手も行司もお客さんも土俵も含まれます。

大相撲は「試合」や「大会」とは言わずに「場所」と言いますよね。「場所」は神聖な空間と時間を意味しているので、取り組みごとに、清めの作法が行われるのです。

(イラスト:宮下 和)


 

 

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桃虚 神職/ライター

1970年インド(ムンバイ)生まれ、東京育ち。 ライター業を経て、大阪府枚方市の片埜神社にて神職歴20年。 「神社新報」で連載など。筆名の「虚(とうきょ)」の、「桃」は無邪気の象徴、「虚」は素直な心を表す

最新刊に『神様と暮らす12カ月 運のいい人が四季折々にやっていること』。

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