前回、二礼二拍手一礼について学びましたが、神社にある鈴、パンパンと打つ「拍手(かしわで)」のこと、ちゃんと知ってますか?
新刊『神様と暮らす12カ月 運のいい人が四季折々にやっていること』から教えていただきましょう!
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拍手で邪気を祓い、鈴で神様を呼ぶ。神様と音の密接な関係
二礼二拍手一礼にはもうひとつ、「拍手(かしわで)がうまくなる」という効果もあります。もちろん最初は「ぺちっ」とした音が出がちですが、手のひらと手のひらを合わせる瞬間に気を集中させ、強くもなく、弱くもなく、ちょうどよい圧で手を打つようにすると、ある日突然、よく通る音が鳴るようになります。
「それ、誰が得するんですか」と思うかもしれません。が、これがとても快感で、気持ちがすっきりします。そして繰り返しているうちに、空間の邪気を一掃して清める、鼓のような音が出せるようになってきます。拍手は年季が入れば入るほど上手くなるので、拍手歴50年のおじいさん神職が打つ拍手は、ぽん、とまろやかで、それでいて場の空気を一瞬で清める力を持っています。
意外と知られていませんが、「音」は清めの重要な要素なのです。
神社では、「清め」がすべてに優先されます。神事のはじまりにはかならず「清め」が、かなりの時間と手間を割いて行われます。水で物理的に手や身を清め、木の葉や紙で作った祓串(はらえぐし)で見えない邪気を祓い、さらに塩、酒、火で空間を清める。そして、音でも清めるのです。
お賽銭(さいせん)箱の上からぶらさがっている鈴のことを、神様の呼び鈴のようなもの、と思っている方も多いかもしれません。もちろんそれも間違いではないですが、もともとは、鈴の音によって参拝者自身を含むその「場」を祓い清めるものとして、そこにあります。
熊の出る山に入る時、私たちは熊除けの鈴を持ちますよね。僧侶が山を巡行する時に持つ錫杖(しゃくじょう)も、鉄や銅の輪が複数ついていて、それが触れ合うことで音が鳴るしくみです。音によって害獣や災難を追いはらう。私たちは祓いの手段として「音」を使ってきたのです。
拍手は、鈴や錫杖といった物がなくても、体ひとつで祓いの音が出せる手段。それが儀式の中で作法化し、ぽん、という音によって、その場を祓い清めるという機能を持ったのではないかと思います。
みなさんは、大相撲を見に行ったことがあるでしょうか。テレビ観戦でもよいので、一度、取り組み前の関取の所作をよく観察してみてください。
彼らは土俵に上がると、蹲踞(そんきょ)して、揉(も)み手をし、拍手をひとつ打ち、両手を上に向けて肩の高さまで上げ、手のひらを下に返すという「塵手水(ちりちょうず)」という作法をしています。これは、その昔、手水がないときに、代わりに草や空気で身を清めたことが由来です。そして、力士が拍手を打つ、という行為は、「音で“場”を清める」ということなのです。“場”には自分も、取り組み相手も行司もお客さんも土俵も含まれます。
大相撲は「試合」や「大会」とは言わずに「場所」と言いますよね。「場所」は神聖な空間と時間を意味しているので、取り組みごとに、清めの作法が行われるのです。
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神様と暮らす12カ月 運のいい人が四季折々にやっていること
古(いにしえ)より、「生活の知恵」は、「運気アップの方法」そのものでした。季節の花を愛でる、旬を美味しくいただく、しきたりを大事にする……など、五感をしっかり開いて、毎月を楽しく&雅(みやび)に迎えれば、いつの間にか好運体質に!
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神主さん直伝。「一日でも幸せな日々を続ける」ための、12カ月のはなし。
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