節分といえば「豆まき」。その豆をしっかり食べないと、効果は半減!? そして、もうひとつ大事なのが「鰯(イワシ)」!
キーワードは「魔除け」です。新刊『神様と暮らす12カ月 運のいい人が四季折々にやっていること』より、「魔除け」について、しっかり学んでおきましょう!
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豆まきは、「邪気」を祓う呪術
春が立ち上がる「立春」の前日、すなわち「節分」は冬の最終日なので、陰の気を追い出さなくてはいけません。
だから冬の季節の打ち上げ、つまり節分祭は、「陰の追い出し会」の様相を呈します。
陰陽思想の本家である中国の古典「記禮(らいき)」には、《土で造った牛=冬の象徴》を門の外に追い出す行事が記されていて、この牛が、日本に伝わったときに節分の鬼になったと言われています。
日本では鬼は「隠(おに)」。隠れて形を表さないもののことを言いました。鬼は陰であり冬の象徴でもあります。これを追放するのが、鬼やらいの風習です。
鬼に投げる豆も、秋に稔る穀類で「陰」。霊穀(こくれい)と呼ばれる精霊が宿っているため、鬼を退治するのに向いています。
さらにお豆を食べることで、お腹の中で「陰」を消化して消します。
節分の日に、門前に「柊鰯(ひいらぎいわし)」を飾る風習もまた、陰の追い出し会の一環です。
鰯(いわし)は陰の気を消すお魚とされ、独特の匂いで邪気を祓います。
鰯を焼くと出る煙にも、魔除けの効果があると言われます。焼いて食べたあとに、残った鰯の頭と、冬の植物である柊(陰)を門前にさらすことによって「陰よ、さようなら」します。
柊の葉は尖(とが)っていますので、魔除けにもなります。
もともと匂いの強いものも魔除けとして使われるので、鰯もまた、魔除けです。
というわけで、節分行事は、冬の最終日に極まった「陰」の気を追い出す、陰陽道由来の呪術的行為なのでした。
とはいえ、なんだかんだ、人々がゆく冬を惜しんで、最後に冬らしさを満喫しているようにも見え、これが呪術なのだとしたら、えらく楽しい術式だなあ、なんて思ってしまいますよね。
(つづく)
神様と暮らす12カ月 運のいい人が四季折々にやっていること
古(いにしえ)より、「生活の知恵」は、「運気アップの方法」そのものでした。季節の花を愛でる、旬を美味しくいただく、しきたりを大事にする……など、五感をしっかり開いて、毎月を楽しく&雅(みやび)に迎えれば、いつの間にか好運体質に!
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神主さん直伝。「一日でも幸せな日々を続ける」ための、12カ月のはなし。
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