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神様と暮らす12カ月 運のいい人が四季折々にやっていること

2025.03.23 公開 ポスト

ふきのとう、わらび、ぜんまい、たらの芽、せり、みつば、うど…3月は山菜を食べて、運気アップ!桃虚(神職/ライター)

雪解け水は「桃花水(とうかすい)」とも呼ばれ、春の季語。そのほか、今回は、知られていない雑学満載!

一家に一冊あるといいね、と評判の『神様と暮らす12カ月 運のいい人が四季折々にやっていること』より、3月について学びましょう!

*   *   *

春は小さな旅で、流れる水に触れるのが吉。 清き私に、なりにけるかも……

「万葉集」には、こんなすてきな春の歌があります。

石(いは)ばしる垂水(たるみ)の上のさ蕨(わらび)の萌え出づる春になりにけるかも

(志貴皇子 万葉集巻八)

春のはじめに芽を出したばかりの蕨(わらび)を、早蕨と書いて「さわらび」と呼びます。若葉がまだ開かずに先がくるっとまるまったさわらびは、早春の息吹そのもの。そんなさわらびが萌え出てくる春に、なりにけるかも……。という素直なよろこびが、「石ばしる垂水」の清涼感とともに心を洗ってくれる歌です。

先のまるまったさわらびのデザインは、春を表すアイコンとして着物の柄や茶の湯の道具などに用いられますが、じつは神社の石燈籠(いしどうろう)にも使われています。六角形や八角形の石燈籠の笠の先端にある、くるっと巻いているような部分です。このようなさわらびの立体的な意匠は「蕨手(わらびで)」と呼ばれ、おみこしの屋根についていることもあります。

(イラスト:宮下 和)

またた、墳時代から平安時代初期にかけて作られ、使われていた「蕨手の太刀(たち)」は、刀の柄(つか)の部分に蕨手があるもので、東大寺の正倉院御物に(しょうそういんぎょぶつ)もあります。蕨手は、ただ可愛らしいというだけでなく、芽吹きの生命力を宿すという願いも込められているのです。

蕨手のデザインに願いを込めることのほかに、昔から、萌え出たばかりの山菜など、すこし苦味のある春先のものを食べることで、その生命力をまるごと授かる、という考え方があります。

ふきのとう、わらび、ぜんまい、うるい、こごみ、たらの芽、せり、みつば、うど。3月はこれらのものを食べると、力が湧いて、運気も上がります。さっと揚げた天ぷらなんか最高ですよね。

この時期は桃の花が咲く季節なので、雪解け水は別名「桃花水(とうかすい)」とも呼ばれ、これは春の季語にもなっています。その清らかで豊かな流れを見ていると、この水にザブンと飛び 072 込んで流れていけたら、どんなに爽快なことだろうか! と思いますが、実際にはできませんよね。だから「自分の身代わりとして人形を水に流す」というお祓いが生まれたのではないでしょうか。

(イラスト:宮下 和)

考えてみれば、人形を水に流すというお祓いも、酒の盃を流す曲水の宴も、清らかな水が豊富な風土だからこそできる行事です。砂漠の民が聞いたら「なんですかそれ?」と思うでしょうし、アマゾンのようにピラニアやワニがいる川では危険すぎてできません。ミシシッピ川のように大河すぎてもむずかしい! 日本人の遠い祖先が、長い旅を経て日本の国土にたどり着いたとき、あちこちを流れる清らかな水に感動したはずです。その遠い記憶が、日本人の「流れる水好き」に、つながっているように思えてなりません。

3月の休日には、湧き水や名水など、流れる水を求めて小旅行にでかけてみることをおすすめします。その水流を眺め、音を聞き、水に手を触れ、飲める水であれば飲むことで、心身が清まり、いにしえびとのように、神々と仲良くなることができるからです。

(4月もお楽しみに!)

関連書籍

桃虚『神様と暮らす12カ月 運のいい人が四季折々にやっていること』

古(いにしえ)より、「生活の知恵」は、「運気アップの方法」そのものでした。季節の花を愛でる、旬を美味しくいただく、しきたりを大事にする…など、毎月を、楽しく&雅(みやび)に迎えれば、いつの間にか好運体質に! 四季を「見る」「聴く」「匂う」「触る」「味わう」……。 「五感」を磨けば、1年間幸運がめぐり、運だけでなく、体も、脳も、生活も、みるみる華やぎます! ポイントは、小さな変化を敏感に感じとり、そして”楽しむ”こと。 四季の豊かな日本には、古来から、その楽しみ方のノウハウがたくさん伝わってきています。

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神様と暮らす12カ月 運のいい人が四季折々にやっていること

古(いにしえ)より、「生活の知恵」は、「運気アップの方法」そのものでした。季節の花を愛でる、旬を美味しくいただく、しきたりを大事にする……など、五感をしっかり開いて、毎月を楽しく&雅(みやび)に迎えれば、いつの間にか好運体質に!

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神主さん直伝。「一日でも幸せな日々を続ける」ための、12カ月のはなし。

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桃虚 神職/ライター

1970年インド(ムンバイ)生まれ、東京育ち。 ライター業を経て、大阪府枚方市の片埜神社にて神職歴20年。 「神社新報」で連載など。筆名の「虚(とうきょ)」の、「桃」は無邪気の象徴、「虚」は素直な心を表す

最新刊に『神様と暮らす12カ月 運のいい人が四季折々にやっていること』。

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