
ある日。
リハ終わりでスタジオを出ると、遠目に赤いものが見えた。近づいていくと、一輪の花。
あらまぁまぁ。
1人だけ早く出てきたのね。出てみたら誰も居なくてびっくりしたのかな。あわてんぼうのチューリップかな。なんだかその姿が妙に印象的で。ひとりぼっちってことはないのだけれど、少し寂しそうにも見えて。でもよくよく考えたら1人で立ってかっこいいよ!とも思えてきて。いや、そうよ。かっこいいのよあなたは!
これを誰かにも伝えたいなと思った。このチューリップの凛とした様を。SNSにあげようかしら〜とは思った。一応思った。が、いつものごとく、そのまま時間がすぎた。
2日後。
撮影が終わりスタジオを出ると、あ、あのチューリップ見に行こうと思いつく。すたすたと歩いていくと赤いものが見える。 なんだか寂しくない雰囲気をすでに感じる。
いち、にい、さん。
3人になっている!仲間が増えたね。もう寂しくないね。むしろ先輩だね。1人だけ大きくて、色がはっきりとしていて、かっこいいよ。
いやぁよかったぁー!と思ったと同時に、なぜ私は2日前に誰にも共有しなかったのかと、自分に腹を立てた。
あの子は1人で頑張ってたのに!かっこよかったのに!
なんて大きなお世話なのでしょう。
なんて自分に傲慢なのでしょう。今思えば笑える。
4日後。ご覧の通り。
仲間が増えて、もはやあの子はよーく見ないとどれだっけ?となった。沢山咲いたら綺麗だけれど、あの子の1人で耐えた時間が、ある意味の頑張りが、どこにいってしまったんだろうと思ったりもして、なんだか切なくもなった。私があの時、誰かに伝えていたら、発信していたら、ちゃんと見ているよという意味で行動できていたらよかったのに。
だって本当に1人で綺麗に咲いていたのだから。
さらに数日後。
かわいいねぇ。
沢山並ぶときれいねぇ〜春だねぇ〜と勿論思わせてくれるけれど。1人の、個の凛々しさもしっかりわかっていたいと、そんなところを大切に出来る人であってほしいと、自分に対する期待だったのかしら。
そして、冷静になると、今考えている企画がまさにそこを具現化したようなもので、1人1人に対するリスペクトから思いついたもので、自分のやりたいことは繋がっていると面白く感じる。きっと、この企画は本当に私が興味のがあることで、大切にしたい部分で。そういうものは必ず繋がっていくはず。
一輪のチューリップから、自分の深いところまでわかってくるなんて。日常に目を向けて、深めてみると意外と面白い。
春ですね。
くしゅんくしゅんしていますが、あたたかくなってきて、私はご機嫌です。あなた様はいかがお過ごしですか?どんな日常を送っていますか?
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いつまで自分でせいいっぱい?

自分と向き合ったり向き合えなかったり、ここまで頑張って生きてきた。30歳を過ぎてだいぶ楽にはなったけど、いまだに自分との付き合い方に悩む日もある。なるべく自分に優しくと思い始めた、役者、独身、女、一人が好き、でも人も好きな、リアルな日常を綴る。