いけないとわかっていても、旧態依然とした「男尊女卑」の言動がポロリと出てしまう人の精神病理をあきらかにした話題書『男尊女卑という病』。
著者の片田先生に、「男の7大ナゼ?」をぶつけた後半戦。ズバッと爽快な答えに、これまでのモヤモヤがスッキリ! と同時に前回同様、衝撃の分析も。さっそく気になる続きからスタートです。(聞き手:plus編集部)
※前編はこちらから
4 男はなぜ、釣った魚にエサをやらなくなるのか?
———さて先生、男性の中には、女性にアプローチしているときは、マメに連絡したり、褒めたり、プレゼントをくれたり、デートプランも凝っていたのに、つきあったり、結婚したら、一切何もしなくなるという変化の激しい人がいます。そうした変わり身の早さには驚くしかないのですが、そこには、どういった心理が潜んでいると考えられるのでしょうか。
片田 やっぱり、男性にとって「狩り」なんですよね。狙った女性を自分の「もの」にするということは。
———狩り、ですか。
片田 「狩り」の目標は何かというと、いい悪いは別にして、セックスなんです。だから女性を自分の「もの」にしたら、そこで目標達成、終わってしまうわけです。ただ、現代では、そこから関係を維持していくのが恋愛であり、結婚なわけです。だから男性は、記念日を一緒に祝ったり、「愛してる」と言うようにしたり、男性は男性なりに努力していますよね。
———その狩猟本能というのは、よく言われるように、DNAにもともと組み込まれているとか、そういった話になるんでしょうか。
片田 あると思いますよ。でないと、子孫を残せませんから。それこそ、大昔はもっと暴力的に、女性を手に入れてセックスして、子孫を残すということをしてきたでしょうし、生まれてきた子供は、狩猟や農業において労働力にもなってきたわけです。
だから目標を達成したあとの男性が、その女性と結婚したいとか、家庭生活を続けたいと思うには、何かしらの努力が必要になりますね。
——女性よりも男性のほうが、結婚後の関係を維持する「苦痛」が大きい?
片田 そうですねえ。何らかの男性側のメリット、たとえば、家に帰ってくると威張れるとか、ご飯をつくってもらえるとか、自分の言うことを聞いてくれるとか、何かが必要になると思います。
———となると、この本でも出てきましたが、女性の側が男性をある程度立てて、ちょっとしたことでも褒めたりして、「上げ底」をはかせてあげるくらいのほうが、男性は気持ちよく家庭生活を維持できるということですね。
片田 そうですね。もし家庭に苦痛が多かったら、他に女を作ってしまうかもしれませんよね。
———うーん……。若干、女性の側ばかり損をしている気がしなくもないのですが。その辺は、女性が割り切るしかないのでしょうか。
片田 ただ、観察していると、そうやって常に狩猟と思って次から次に女性を狩っていく男性もいますが、好きな女性ができたら一筋という男性もいますよね。中庸という男性は少なくて、どちらか両極端ですね。だから女性の側が、彼氏や旦那さんがどちらのタイプなのか、よく見極めるしかないでしょうね。
5 男はなぜ、マザコンなのか?
———次は、ほぼ99%の男性に当てはまると思われる謎に迫りたいと思います。本書の中で、フロイトの「エディプス・コンプレックス」を中心に、非常に興味深い解説がされていますが、男性の母親に対する愛着というのは、ものすごく強いものがありますね。
片田 そうですね。本質的にすべての男性はマザコンですね。
———本にも書いてありますが、恋愛や結婚で破局した女性が、「私は結局、あの人(彼氏や旦那さん)の母親代わりでしかなかったのよ」と嘆いたりするけれど、それは真理を突いている、と。
片田 詳しい説明はここでしきれないので、68ページをぜひ読んで欲しいのですが、男性にとっては、どんな女性も、母親という根源的な対象の代理でしかないんです。
———女性はそれについて「なんでなの!」と怒ったり、ましてや旦那さんの母親と張り合ったりしてはいけない。あきらめましょう、と。
片田 そうなんです。それは基本のキというか、「重力があるのはなぜ?」というくらい基本のことなんです。男性はみんなマザコンです。
——女性が、疑問を持つ意味すらない(笑)。
片田 そういうことですね。もしもマザコンではない男性がいるとすると、母親との関係がかなり難しかった方ですね。たとえば、愛情剥奪のような体験が幼児期にあったとか、場合によっては母親に捨てられたとか。でも逆にそうすると、失われた対象としての母への思慕が非常に強くなりますから、別の意味でマザコンと言えるのですが。
——それはそれで違った形で出てくる。