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じつは治せる“おなかの弱い人”の胃腸トラブル

2016.07.14 公開 ポスト

要注意!胃炎放置で認知症に?江田証

「おなかが弱いのは体質だから…」「こんなことでわざわざ病院に行くのは恥ずかしい」など、おなかの不調に慣れてしまい放置している、"おなかの弱い”あなた。
胃がん・大腸がんなど大きい病気を見過ごしてしまうかもしれないというリスクもそうですが、胃腸にトラブルがある・ないでは日々の生活の質も雲泥の差。きちんと治療をすることが大事です。
 胃がん発生に重要な働きをしている特定の遺伝子がピロリ菌感染胃粘膜に発現していることを世界で初めて発表し、毎日全国からの患者さんを診察している消化器内科医、

江田証さんによる著書『専門医が教える おなかの弱い人の胃腸トラブル』より、おなかの不調の原因とその治療法を紹介します。

<ピロリ菌は全身に影響をおよぼす>


 おなかが弱い人は、一度は医療機関にかかり、ピロリ菌の有無を調べてください。ピロリ菌は、胃炎や胃がんの原因となる菌でおなかに棲んでいます。

 正式名は「ヘリコバクター・ピロリ菌」。
 井戸水などにいる風土菌で、衛生状況のわるい一昔前の日本にはどこにでもいました。いまの中高年の多くはピロリ菌を持っています。

 時代とともに清潔な世の中になり、自然界で感染する機会は減りましたが、若い世代も安心はできません。なぜならピロリ菌は、人から人へと唾液感染するのです。
 親から子へ、食べものを口移しすることで感染します。団塊ジュニアや、その子どもの世代も、唾液感染している危険があります。

 日本では、年間12万人近い人が胃がんになります。一方、アメリカでは胃がんは稀な病気です。なんと全世界の胃がん患者の6割は日本、中国、韓国で占められています。これはピロリ菌の種類が東アジアと欧米で異なるためです。
 強毒性の東アジア型に比べ、欧米型は弱毒性で胃がんを引き起こしにくいのです。
 

<ピロリ菌感染があると認知症や動脈硬化、骨粗鬆症になりやすい>

 ピロリ菌がいると胃炎や胃がんを起こすだけではありません。
 認知症、貧血、動脈硬化、骨粗鬆症、悪性リンパ種、慢性じんましんなど全身の臓器に影響を与えることが分かってきました。そればかりか、ビタミンCやビタミンB12、葉酸など大切な栄養素まで吸収が悪くなるのです。せっかくサプリメントを飲んでも、吸収が悪くなります。ビタミンB12や葉酸の吸収が悪くなると、ホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることがわかっています。

    脳神経系の医学誌「Journal of Neurology」誌は、アルツハイマー型認知症患者にはピロリ菌感染率が有意に高いこと、ピロリ菌の除菌がアルツハイマー型認知症患者の認知機能改善にプラスの効果があることを報告しています。


<ピロリ菌が全身に影響を与える理由>


 その原因の一端が最近、東大・京大の研究チームによって明らかになりました。
 ピロリ菌が産生する毒素、CagA(キャグエー)は、胃の細胞から分泌されて全身の血管の中を循環することがわかったのです。
「健康長寿のためにはまず胃をととのえることが第一歩なのです(江田証医師)」。

ヘリコバクター・ピロリ菌。直径約0.5マイクロメートル、長さ2.5~5マイクロメートルの、ねじれたらせん状の菌。 

次回「リア充男子に増えているおなかのトラブル。薬に頼らない治療法とは」は
7月17日(日)公開予定です。

江田証『専門医が教える おなかの弱い人の胃腸トラブル』

「またおなかの調子が悪い」は治せる病気です! おなかの不調に慣れてしまっているすべての人のための、専門医が教える治療法大全!

ふだんから、「おなかの存在」を意識していませんか?
しくしく痛む、もたれる、はっている、キュルキュル鳴る…。
「おなかの存在」を意識する必要がなくなれば、生活の質は一気に上がります。
あらゆる胃腸のトラブルへの対処法を、専門医がわかりやすく徹底的に解説。
これさえ読めば、あなたも胃腸の悩みいらず!

江田証『機能性ディスペプシア おなかの弱い人の胃腸トラブル〈分割版〉』

『専門医が教える おなかが弱い人の胃腸トラブル』のPart2「機能性ディスペプシア」を抜粋してまとめたものです。

◆ 5人に1人、若い女性に多い。異常はないのに胃もたれ、胃痛がある
◆ 発症のキーワードは「ふくらみ」「感受性」「ストレス」
◆ 食べても胃がふくらまず、トラブルが連鎖していく
◆ 新薬アコチアミドと漢方薬・六君子湯で解消できる
◆ 内臓知覚過敏には薬のほかに唐辛子も効果あり
◆ まずストレスで胃が働かなくなり、悪循環におちいる
◆ 寝る前に食べると胃もたれするのは?
◆ “おなかの風邪”後の機能性ディスペプシア

江田証『過敏性腸症候群 おなかの弱い人の胃腸トラブル〈分割版〉』

『専門医が教える おなかが弱い人の胃腸トラブル』のPart3「過敏性腸症候群」を抜粋してまとめたものです。

◆ ストレスや腸内環境の悪化で腸の運動が変調する
◆ 下痢型、便秘型、混合型。3つの症状がある
◆ 下痢、便秘の症状にあわせて2種類の薬を使う
◆ 低FODMAP食で腸内異常発酵を止める
◆ 低FODMAP食 食品OK・NGリスト
◆ リラクゼーションや認知行動療法で改善
◆ おなかにまつわる噂のウソ、ホント

江田証『逆流性食道炎 おなかの弱い人の胃腸トラブル〈分割版〉』

『専門医が教える おなかが弱い人の胃腸トラブル』のPart4「逆流性食道炎」を抜粋してまとめたものです。

◆ ピロリ菌の感染率が低下して、中高年になっても胃酸が出すぎる
◆ 食道の筋力低下や感受性の強さも胃液の逆流を招く
◆ 長くほうっておくと食道がんになるおそれがある
◆ 胸焼け、吐き気が週2回以上あるなら治療が必要
◆ 胎児時代の飢餓感で将来、メタボに!?

関連書籍

江田証『機能性ディスペプシア おなかの弱い人の胃腸トラブル〈分割版〉』

「ディスペプシア」とは「消化不良」の意味。たびたび胃が痛くなる、胃もたれする、食欲がなくなる…といったことに悩まされていませんか? 胃粘膜に異常がなく、胃がん等の器質的な病気でもないのに、胃に症状がある状態を「機能性ディスペプシア」といいます。若い女性に多い、この症状。その原因と改善するための方法を、専門医がやさしく解説します。 ※本作品は、『専門医が教える おなかが弱い人の胃腸トラブル』のPart2「機能性ディスペプシア」を抜粋してまとめたものです。 〈目次〉 ◆ 5人に1人、若い女性に多い。異常はないのに胃もたれ、胃痛がある ◆ 発症のキーワードは「ふくらみ」「感受性」「ストレス」 ◆ 食べても胃がふくらまず、トラブルが連鎖していく ◆ 新薬アコチアミドと漢方薬・六君子湯で解消できる ◆ 内臓知覚過敏には薬のほかに唐辛子も効果あり ◆ まずストレスで胃が働かなくなり、悪循環におちいる ◆ 寝る前に食べると胃もたれするのは? ◆ “おなかの風邪”後の機能性ディスペプシア

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子供の頃からすぐ下痢をしたり、便秘になって腹痛に悩まされている…そんな人は過敏性腸症候群の疑いあり。大きな原因はストレスで、10代から始まり、20〜30代の男性ビジネスマンによく見られるトラブルです。排便すると痛みや不快な症状はやわらぎますが、たびたび起こると仕事にも集中できなくなりますね。具体的な改善方法を、専門医がわかりやすく解説します。 ※本作品は、『専門医が教える おなかが弱い人の胃腸トラブル』のPart3「過敏性腸症候群」を抜粋してまとめたものです。 〈目次〉 ◆ ストレスや腸内環境の悪化で腸の運動が変調する ◆ 下痢型、便秘型、混合型。3つの症状がある ◆ 下痢、便秘の症状にあわせて2種類の薬を使う ◆ 低FODMAP食で腸内異常発酵を止める ◆ 低FODMAP食 食品OK・NGリスト ◆ リラクゼーションや認知行動療法で改善 ◆ おなかにまつわる噂のウソ、ホント

江田証『逆流性食道炎 おなかの弱い人の胃腸トラブル〈分割版〉』

中高年に急増中! 胸焼け、吐き気、喉に違和感、酸っぱいものがこみ上げてくる…出すぎた胃酸が食道のほうに逆流すると、こうした症状が起こります。若い時から、ファストフードなど脂肪分の高いモーニングセットをよく食べたり、深夜寝る直前に食べすぎている人に出やすい症状です。不快感を取り除くにはどうしたらいいのでしょうか。専門医がくわしく解説します。 ※本作品は、『専門医が教える おなかが弱い人の胃腸トラブル』のPart4「逆流性食道炎」を抜粋してまとめたものです。 〈目次〉 ◆ ピロリ菌の感染率が低下して、中高年になっても胃酸が出すぎる ◆ 食道の筋力低下や感受性の強さも胃液の逆流を招く ◆ 長くほうっておくと食道がんになるおそれがある ◆ 胸焼け、吐き気が週2回以上あるなら治療が必要 ◆ 胎児時代の飢餓感で将来、メタボに!?

江田証『医者が患者に教えない病気の真実』

胃がんは感染する!? 風呂に浸からない人はがんになりやすい!? 低体温の人ほど長生きできる!? 鮭やエビを食べれば視力が回復する!? 毎日200人の患者を診察するスーパードクターが、ダイエットやアンチエイジングから、がんや認知症予防まで最新の「健康長寿のヒント」72項目を徹底解説。今日から実践すれば、あなたの健康と未来は輝きます! 【本文内 FODMAPに関する補足】 豆乳は、乳製品の中では、低乳糖(低ラクトース)であるため、乳糖不耐症だけならば飲用しても大丈夫です。 ただ、豆乳には種類があり、中にはオリゴ糖をたくさん含むものとそうでないものがあります。 豆乳には「大豆から作られた」ものと「大豆抽出物から作られた」ものがあります。 「大豆から作られた」豆乳には、ガラクトオリゴ糖(GOS)が豊富に含まれるため 過敏性腸症候群の人は避けるべきでしょう。 これは大豆にガラクトオリゴ糖(GOS)が豊富に含まれますので当然のことと言えます。 一方、「大豆抽出物から作られた」豆乳には、FODMAPの成分である、 ガラクトオリゴ糖(GOS)、フルクタン、ポリオール、ラクトースも含まれていません。 つまり、豆乳は、大豆から作られたものではなく、大豆抽出物から作られたものを選ぶことが重要なのです。 すべての豆乳が高FODMAP食ではないので、乳製品が飲みたい人には救いです。 「豆乳(大豆から作ったもの)」は避け(高FODMAP食)、「豆乳(大豆抽出物から作ったもの)」は 食べても大丈夫(低FODMAP食)と覚えておいてください。

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江田証

1971年、栃木県生まれ。医学博士。自治医科大学大学院医学研究科修了。江田クリニック院長。日本消化器病学会奨励賞受賞。日本消化器病学会専門医。日本消化器内視鏡学会専門医。米国消化器病学会(AGA)インターナショナルメンバーを務める。毎日、国内外から最新の治療法を求めて来院する、お腹の不調をかかえた患者を胃内視鏡・大腸内視鏡で診察し、改善させることを生きがいにしている。著書に『医者が患者に教えない病気の真実』『病気が長引く人、回復がはやい人』『おなかの弱い人の胃腸トラブル』『腸内細菌の逆襲』(すべて幻冬舎)などがある。

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