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岸見一郎の幸福論 ~幸せとは表現するもの~

2018.05.22 公開 ポスト

書籍『成功ではなく、幸福について語ろう』発売記念

大切な人が重い病気にかかってしまいました。何もできない自分が情けなく、どうしたら力になれるでしょうか。【リバイバル公開】岸見一郎

アドラー心理学の第一人者であり、大ベストセラー『嫌われる勇気』著者、岸見一郎さんによる最新刊『成功ではなく、幸福について語ろう』の発売を記念して、幻冬舎plusで反響の高かった人生相談の内容をリバイバル公開いたします。
また発売記念第2弾企画として、岸見先生へ直接悩みを相談できるイベントも実施いたします。

(写真 iStock/paylessimages)

大切な人が重い病気にかかってしまいました。何もできない自分が情けなく、どうしたら力になれるでしょうか。(49歳女性 主婦)

 とても大切な人が重い病気にかかっていることがわかりました。
 その人は、末期のがんで手術の方法がないと言われたそうですが、抗がん剤治療を受けながらも、完治の可能性を探していくつかの病院をまわっています。
 私は医学的な知識もなく、その人の役に立てることがなく、またどんな言葉をかけていいかもわからず、呆然とするばかりです。どうしたらいいのかわからない、そんな自分が情けなくて仕方ありません。(49歳女性 主婦)

まず、病に立ち向かっているその人のことを信頼する

 その大切な方を信頼することが必要です。
 その人が自分の置かれた状況にあって、自力で自分しか解決できない課題に立ち向かえる人だということを信じるということです。
 だから何もしなくていいというのではありません。たとえあなたが何もできなくても、その人は病気に向き合うという課題を自力で解決できると信頼した上で、今、病気に向き合っているその人の力になりたいと思うのは当然です。

 しかし、力になりたいと思っても、どうしたらいいのかわからないということはあります。何ができるかわからなければ「何かできることはないか」とたずねればいいのです。 実際、このような場合、どうしたらいいかわかる人などいないのではないかと私は思います。
 何もできなくても、どんな言葉をかけていいかわからなくても、その人に会えるのなら、会いに行きたいと思いませんか。それなら会いにいって「心配なので取るものも取りあえず会いにきた」といえばいいのです。

治る見込みがない子どもの主治医に、アドラーが言った言葉

 よく思い出すエピソードがあります。
 病気の子どもの親に回復の見込みはないと告げた主治医にアドラーがいいました。

「どうしてわれわれにそんなことがいえるだろう。これから何が起こるか、どうしたら知ることができるだろう」
 
 これから起こることは何も決まっていません。
 先のことは誰にもわかりません。
 あなたができることは、共に過ごす時間を大切にすることだけです。

 

岸見一郎『成功ではなく、幸福について語ろう』

成功と幸福を同一視しないことから始めよう。
アドラー哲学「嫌われる勇気」岸見一郎による幸福論の決定版
高校生へ語った伝説の講演「これからの人生をどう生きるか」も完全収録!

 

関連書籍

岸見一郎『子どもをのばすアドラーの言葉 子育ての勇気』

親子関係に効くアドラー哲学 アドラー心理学研究の第一人者にして大ベストセラー『嫌われる勇気』著者・岸見一郎氏による、 子どもとよりよい関係を築くためのアドラー哲学が凝縮された一冊。 もくじ 第1章 叱らない、ほめない子育て られてばかりのスケールの小さい子 誰もがやさしい言葉をかけてくれるとは限らない 親とて子どもの人生を決められない ありのままの子どもを見よう 子どもが失敗した時は子どもが責任を取る いつか親のもとを離れていく子どもたちへ 見ている人がいるからゴミを拾うのか? 無視されるよりられた方がまし 子どものことは親が一番よく知っているという思い込み 「悪い親」がいるのではない、「下手な親」がいるのだ 体罰に正義など何もない 第2章 勉強ができる子、できない子 知らないことを知る喜び 勉強がつらいとやめてしまう子、続けられる子 たしかに入試は競争だが、仲間もつくれる 医学部の勉強は入学してからが本当に大変 明日からダイエット! そんなセリフは聞き飽きた? 勉強は家事の手伝いより大切か? 受験生だからといって家族の中で特別視しない 子どもを上から目線で見ない もしもゲームをしなければもっといい成績が取れたのに!? 子どもにイライラしたら見ないようにする 教科を教えるのではなく、教科で教える 第3章 一生強く生きられる勇気づけ 自分にはできないと思い込まない 援助は受けるだけでなく与えてこそ喜びとなる メダルを取れなかったら、謝るのか 神に呼ばれたシュバイツァー 子どもの長所に光を当てよう 自分には価値がある、と思えるか 尊敬される十一歳の偉大な指揮者 劣等感は今の自分より前に進む原動力 地道な努力をしない成功は、すぐ失われる 子どもが自分自身の判断で、子どもの人生を決める

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岸見一郎の幸福論 ~幸せとは表現するもの~

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岸見一郎

1956年、京都府生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学(西洋古代哲学史専攻)。著書に『アドラー心理学入門』(KKベストセラーズ)、『幸福の哲学』(講談社)、『人生を変える勇気 踏み出せない時のアドラー心理学』(中央公論新社)、『老いた親を愛せますか?それでも介護はやってくる』『子どもをのばすアドラーの言葉 子育ての勇気』『成功ではなく、幸福について語ろう』(幻冬舎)訳書にプラトン『ティマイオス/クリティアス』(白澤社)などがある。共著『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)はベストセラーに。

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