「ル・モンド」の社説だって声に出して読めるようになる!
だって、これがちゃんとマスターできたら、フランスを代表する日刊紙「ル・モンド」の社説だって声に出して読めるようになるのですよ。本当に。だから、ここが決定的に重要なところなのです。
フランス語の綴りと発音の関係を憶えることができれば(教科書でわずか2~3ページですよ)、そうすればフランス語の3分の1はものにできたという感じになります。そして、フランス語は難しいという偏見の壁を突破することができるのです。
ですから、本書では、いきなり第1章から「ル・モンド」を読めること(ただし、意味はまだいっさい分かりません)を目標にして、しつこく説明していくことにします。
大学の語学の授業でこんなに自由に時間を使ったことはありませんから、この綴りと発音の関係の説明がどれくらい続くか、ちょっと見当がつきませんが、頑張ってやってみましょう。
というのも、くり返しになりますが、フランス語は、綴りと発音の基本的な関係さえ憶えれば、誰でも声に出して読める言葉だからです。
英語を考えてみてください。英語の綴りと発音の関係なんてほとんどデタラメですよね(失礼!)。でも、one が「ワン」で、Wednesdayが「ウェンズデイ」ですから。いくら習っても、見たことのない単語の発音の仕方は正確には分かりません。
例えば、有名な話ですが、英語の ough という綴りには8種類だか10種類だかの発音があるらしいです。「オー」に「オフ」に「アフ」に「アウ」に「オウ」に「オーフ」に「ウー」に「ア」に……いい加減にしろ。
ほかにも例えば、John McLaughlin という有名なジャズ・ギタリストは、最初「ジョン・マクローリン」だったのですが、それが「ジョン・マクラグリン」になり、いやいや正しいのは「ジョン・マクラフリン」なのだといわれもしましたが、どれが正しいのか? いまだに分かりません。
アリゾナの州都 Tucson が「タクソン」じゃなく「トゥーソン」で、イギリスのソースで有名な町 Worcester が「ウォーセスター」じゃなくて「ウスター」だって。
まあ、これらは極端な例であるにしても、英語の綴りと発音の関係がかなりいい加減であることは否定できないでしょう。
これに対して、フランス語の綴りと発音の関係は、教科書数ページの規則をちゃんと憶えれば、「ル・モンド」だろうと、プルーストの『失われた時を求めて』だろうと、声に出して読むことができます。これがフランス語の素晴らしいところなのです。ですから、まず、ここをクリアしましょう。フランス語ができるようになったと美しい錯覚に酔うことができます。
いや、錯覚ではありません。フランス語の歌曲とかシャンソンとかフレンチポップスが好きな人はすごいですよ。歌詞カードを見て読めるようになるばかりか、カラオケで歌えるようになります。これだけでも、もう本書780円(税別)のもとを取ったといってもいいでしょう。
じゃあ、そろそろ始めましょう。
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世界一簡単なフランス語の本
フランス語の教師をはじめて約30年の中条省平さん。フランス語に挫折してしまったあなたのために、「フランス語の大体が頭に入り、フランス語を恐れる気持ちが消える」ことを目指して書かれた『世界一簡単なフランス語の本』から、フランス語のはじめの一歩をご紹介します。