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老いない体をつくる中国医学入門

2019.03.09 公開 ポスト

老化を早める「毒」は「食」でデトックス【リバイバル掲載】阪口珠未

photo kokoroyuki/iStock

中国医学では、人間の体は、加齢によっていろいろなところの流れが悪くなったり、不要なものを出せなくなったりして、「自家製の毒」を溜めていくと考えます。
さまざまな体の不調や、肌のシミ・しわ・くすみなどの原因にもなる「毒」をデトックスするにはどうすればいいのでしょうか?
阪口珠未さんが新刊『老いない体をつくる中国医学入門――決め手は五臓の「腎」の力』の中から解説します。

(記事の終わりには阪口珠未さんの講座のご案内があります)

老けない体づくりの秘訣は「食べ過ぎない」

腎精=若さの素は、先天的な精、つまり、生まれ持ったエネルギーとして腎が蓄えているものです。では、もともと生まれ持った「腎精」バッテリーの容量が少なければ、健康でいられないし、長生きもできないのでしょうか。

もちろんそんなことはありません。その鍵を握っているのが「脾(ひ)」です。

「脾」は腎にエネルギーを与え続けている臓器です。腎が「先天の精」を宿す場所と言われるのに対し、脾は、「後天の精」を作る場所、「後天の本」と言われます。脾の働きは、食べた固形物や水分を消化し、エッセンスを作り出し、それを気のエネルギーと血の栄養に換え、体の器官を養うというものです。胃や小腸の消化する機能、すい臓の消化液を作る機能、脾臓の血を作る機能という、消化まわり全体の働きを含むのが、「脾」なのです。

先天的な力が弱かったとしても、お腹を大切にし、消化に負担のかからない食事を心がけて気や血を作れるようにすれば、間接的に腎精をチャージすることができます。

「消化器を重視する」のは、世界中のいろいろな養生法、健康法で、共通していることでもあります。たとえば、江戸時代の養生家・貝原益軒さん。江戸時代のベストセラー『養生訓』でも、もっとも大切にされているのは、脾を大切にする食べ物と食べ方です。とくに、「お腹を温めること」と「お腹いっぱい食べてはいけない」ことを強調しています。

私の薬膳の先生も、老けない体づくりのモットーは、「食べすぎない」でした。

「学会の後などの宴会でごちそうを食べた日の夜は、お腹を温めるネギとショウガのスープを飲んで寝てしまうんだよ。そうすると次の日には、お腹がすっきり空っぽになっていて、また元気に仕事ができる。若い人のように、3食きちんとお腹いっぱい食べていたら、今頃、私の寿命は尽きてるよ」

と言っていたのを思い出します。

食べたものが栄養となるためには、条件があります。それは、食べたものが消化できていることです。消化できたものは、気のエネルギーと血の栄養となって、体のあちこちへ送られ、腎にも送られて精として、チャージされます。

しかし、食べすぎて消化しきれなかったものは、体に溜まり、血を汚し、エネルギーの流れをせき止める「毒」となってしまいます。

中国医学では、このような未消化物質のことを、一時的なものは「食積(しょくせき)」と呼び、慢性化して重症化したものを、「痰(たん)」と言います。どちらも糖尿病や循環器系の疾患のもとになります。食積や痰は腎にとって負担になるため、食べることでかえって腎精エネルギーを消耗することになってしまうのです。

関連書籍

阪口珠未『老いない体をつくる中国医学入門 決め手は五臓の「腎」の力』

「肝【かん】・心【しん】・脾【ひ】・肺【はい】・腎【じん】」という五臓で人間の体を捉える中国伝統医学。中でもとくに重要なのが「腎」。 腎は腎臓だけでなく成長・生殖の働きも含み、生命の素となるエネルギー=腎精【じんせい】を蓄えている。 腎の衰えは性欲・やる気の低下として現れるだけでなく、脳の働きも左右する。 加齢と共に減る腎精をどう長持ちさせるか? 決め手になるのが「食こそ薬」と考える食養生法【しよくようじようほう】だ。 「毎日一握りのナッツを」 「肉は骨つき・皮つきが基本」 「食べても消化できなければ毒になる」等、 2000年の伝統から編み出された究極の「抗衰老【アンチエイジング】」。

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老いない体をつくる中国医学入門

「毎日一握りのナッツを」「肉は骨つき・皮つきが基本」「食べても消化できなければ毒になる」等、2000年の歴史が証明する究極のアンチエイジングを、やさしく紹介。

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阪口珠未

株式会社漢方キッチン(薬店・薬膳スクール)代表。国立北京中医薬大学提携・日本中医薬大学講師。旧文部科学省国費留学生として、北京中医薬大学で中医学を学び、同大付属病院にて臨床と実習を行う。1999年、株式会社漢方キッチン設立。東京恵比寿にて薬膳スクールと薬店を経営しながら、清代の西太后の宮廷薬膳を研究。企業や自治体でのコンサルティング実績も多い。著書に『西太后のアンチエイジングレシピ』(主婦の友社)、『毎日使える薬膳&漢方の食材事典』(ナツメ社)などがある。

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