10月25日、第4回「出口塾・自分の頭で考える日本の論点」が開催されました。
今回も会場に使わせていただいていたのは、出口さんが社外取締役を務める、株式会社サンワカンパニーさんの東京ショールーム。
地下鉄外苑前駅から徒歩1分と抜群のアクセスに加えて、昼間はカフェも併設された、お洒落で開放感あふれるスペースです。
第4回のテーマは
■経済成長は必要なのか?
■自由貿易はよくないのか?
■投資はしたほうがいいのか、貯金でいいのか?
■日本の大学教育は世界では通用しないのか?
の4つ。
受講者の皆さんには、それぞれの問題についての基礎知識をまとめた資料を事前配布。当日は、出口さんが、まず問題の本質はどこにあるかを解説し、それについてご自分はどのような理由でどのように考えるかをレクチャー。そのあとは、受講者からの質問に1対1で答えていく、というスタイルです。
今回の講座では、専門家の間でも意見が大きく分かれる問題、いわゆる「論点」とか「争点」を運営側で各回4個ずつ選び、出口さんに解説をお願いしています。
この出口塾レポートでお伝えしてきたように、出口さんのお話には毎回大きな学びがありますが、中でも「目ウロコ落ち感」が大きいのは、「これって問題ですらなかったんだ!」という学びです。
出口さんの話を聞いたうえで、たとえばある問題について賛成なのか反対なのか、自分なりに判断ができるようになりたい……と思っていたら、世間で大きく騒がれている話題であっても、正しい選択肢はただひとつ、議論以前、問題以前のことがとても多い!
たとえば第4回では、メインのテーマとしては挙げていませんが、軽減税率の話題になりました。
2019年10月に予定されている消費税引上げに伴い、日本でも軽減税率の導入が決まりました。導入への反対意見に対して、「軽減税率はヨーロッパでも導入されている」と言われることがしばしばありますが、そもそもヨーロッパの軽減税率は、低所得者対策ではありませんでした。「〇〇には税金をかけないと王様が約束した」等々、物品ごとに課税の有無・税率の高低がバラバラだったものを、「消費税」に一本化する際の妥協の産物として導入されたのが軽減税率だったので、そもそも歴史的経緯がまったく違うのだそうです。
そんなことはちょっと勉強すればすぐ分かること。フラットでランニングコストが小さいという消費税の最大のメリットをわざわざ複雑にするのは天下の愚策。軽減税率に賛成している経済学者は皆無、と出口さん。
……ということで、「コンビニで肉まんを買って持ち帰りにしようと思ったが、お腹が空いていたので気が変わってイートインコーナーで食べたら、税金が高くなるのか!」などと腹を立てることがそもそも無意味で、「軽減税率の導入」を前提として受け入れてしまっている自分の頭を、まず打ち破らないといけないわけです。
出口塾レポート
幻冬舎大学では、7月12日に「出口塾・自分の頭で考える日本の論点」(全5回)を開講します。この連載では、開講のねらいや、各回の講座の様子などをお伝えしていきます。