天皇から神という性質をなくす革命
白井 本当にそんなに上手くいくものだろうかという疑問はさておくとして、安岡理論によれば、天皇のお言葉が表に出ちゃうのは大変なことですよね。これはまさに天皇自らによる革命にほかならない。
片山 安岡思想で言えば、官吏も大臣も天皇の意思が徹見できなくなっちゃったわけですよ。官吏が地に落ちたがゆえに、天皇自らが革命の言葉を発しなければならない状況になった。ところが国民のほうも徹見能力が低すぎて反応が鈍い。
白井 そうなんですよ。あまりにもあのお言葉への反応が鈍いので、私は著書の中で自分なりの解釈を書いたんですけど、あれは徹見の努力だったのか(笑)。
片山 広い意味では白井さんも安岡の徒かもしれない(笑)。
一世一元について言えば、崩御による改元と代替わりというシステムは、戦後民主主義になっても継続しました。昭和天皇のときは、深夜にNHKをつけるとずっと二重橋が映っていて、まるで戦前のような雰囲気でしたよね。天皇の病状が刻々と伝えられて、「いつ崩御するんだ」という緊張感と、ある種の異常な興奮があった。元号が天皇の死によって改まり、それによって新しい時代が訪れるのは、神なる性質に基づく仕掛けです。
今上天皇のお言葉は、そういう改元の性質を完全に変えてしまうメッセージでした。天皇の代替わりによって元号が変わるという意味での「一世一元」は今後も続きますが、崩御を伴わない改元は、天皇から神という性質をなくすという意味でひとつの革命でしょう。それを安倍内閣も飲まざるを得ず、あのビデオメッセージが発せられたわけです。
しかもそれに加えて、もしかしたら闇に葬られたかもしれない問題もあったわけですよ。
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