宮中祭祀の見直しほか、レジリエントな皇室を
矢部 平成という時代に、天皇の存在感が薄くなったのだとしたら、その延長で新しい時代の天皇と皇后は、災害の時にだけ存在感を示すくらいでいいのでは、となりますね。
斎藤 まさにそれでいいと私は思っています。とにかく肉体的負担が大きすぎるし、ブラック企業みたいな皇室の状況を緩和していただかないと。
矢部 お休みもないし。
斎藤 余暇も少ない。ちょっとでもセレブ的な暮らしをすると、叩かれる。
矢部 ミシュランの星付きレストランに行こうものなら、ひどかったですよね、雅子さま。皇室は禁欲とセットであれというような。
斎藤 そういう制度はもう持たないだろうと、天皇はどこかで思っていらっしゃるんじゃないですか。そう私は思います。だって、どう考えてもね、これから嫁いでくる人が出てくるとは思えない(笑)。
矢部 悠仁さまが次世代のたった一人の男子で、その人に嫁ぐ勇気のある女性がいるとは、私にも思えません。イギリス王室のように、女優を辞めても嫁ぎたくなるようになるにはどうすればいいのやら。
斎藤 セレブ的な生活をしてもらっても、別にいいと思うんですけど。日本の皇室は道義的規範の体現者のようであることが求められて、日本で最も窮屈な立場じゃないですか。象徴天皇になって、それが加速している。
矢部 せめて、宮中祭祀はやめないと、なんて。
斎藤 祈ることは祭祀でなくてもできると思いますが、まずは祭祀のあり方を見直したらいい。身を清めるだの何だの、手順が多すぎるのをぐっと簡略化して。そうすれば続けやすくなる。
矢部 簡略化しても、外には見えないですしね。
斎藤 新しい時代には、いろいろ改革を起こしていってほしいですね。そうだ、思いつきですが、お二人のテーマの一つとして、皇室の制度設計はどうでしょうか。
矢部 それはいいですね。政権に任せておいても、まじめに検討などしませんから。
斎藤 当事者性がないから、政権はダメです。当事者研究をしていただくんです。宮中祭祀を含め、皇室の機能は何なのか、を。
矢部 それが皇室の存在意義につながりますよね。
斎藤 制度疲労を自覚した上で、存続しやすい制度設計はどうするのがいいのかと、考えていただく。
矢部 制度改革ができれば、日本の少子化も解決できるということになるかもしれませんね。
斎藤 なると思います。状況を変えればいろいろな可能性が見えてくるということがわかるだけでも、違うと思いますから。盤石な天皇制にも自由の要素が取り込まれるなら、可能性は広がりますよね。
矢部 嫁ぎたい人続々。そんな皇室になるような。そのための制度改革ですね。
斎藤 私も参加したいという人が出てくれば、言うことなしですよね。変化を示せるかどうかが焦点だと思います。変化して生き残る。レジリエントな皇室というテーマが見えてきました。