チークダンスを復活させよう
植島 みんな、同じことを考えてるんだね。ぼくもこの数年、ダンスをずっとテーマにしてきた。皮肉なもので、うちは踊りの家だったけど、小さい頃は踊りがいちばん嫌いだった。それから、旅に出ることもめんどくさくて嫌いだった。でも、それが年をとるにつれて両方とも仕事になってきたからね(笑)。人生って一周回るんだよね。
湯山 私もね、嫌いなことが仕事になるタイプ。
植島 そうそう、そうなんだよね。自分を不安にさせるものほど本当は興味があったりして。
湯山 自分を何でこんなにイラつかせるんだと思うと、エネルギーが湧いちゃうんだよね。クラブもね、本当は好きではない。わからないからこそ追求したんですよね。
植島 ぼくがいちばん苦手なのは、喫茶店でテーブルでこう向かい合って話したりするシチュエーション。何か窮屈な感じがする。ダンスって顔を合わせなくてもいいじゃない。
湯山 目と目……そうね、そうか。
植島 目って、やっぱりある意味、攻撃性があるから。
湯山 あるある。
植島 顔を合わせているうちに、知らないうちに、お互いの腹を探り合ったりしてる。
湯山 『源氏物語』の時代は、「目合ひ(まぐわい)」って、当時、顔が性器と同じだったから、顔を隠してる。だから、目と目が合うっていうことは、ものすごく欲情するものだっていうのに通じてるのかもしれないですね。外人とペアダンス、たとえばサルサとか踊る時に、奴らがずっと見つめてくる。それがね、できない(笑)。私、目を見てられないんですよ。
植島 それは日本人にはね、できないね。
湯山 目をね、ずっとこうやっててダンスっていうのは、やっぱりドキドキしちゃうね。
植島 あれ、やっぱり肉食動物だよね(笑)。
湯山 そういう感じ。チークは、抱きあうからわかんないもんね。
植島 何か関係性が面倒くさくないしね、温かいしね。
湯山 温かいし、癒されるからね。
植島 だから好きな人たちがみんなそうなったら、すごく幸せな空間ができるわけですよ。
(次回で最終回です)