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2014.02.10 公開 ポスト

特集〈神様はどこにいる?〉佐藤優インタビュー

人は宗教なしで生きられるのか?(前編)佐藤優

●少年時代に世界大百科事典全35巻を通読!


――この本では、少年期に佐藤さんがどんな本を読んだのかということが詳細に描かれています。塾では、国語の先生が勧めるままに、モーパッサン、島村抱月、島崎藤村、フローベールなど、次々と小説を読んでいき、かと思えば母方の伯父さんの書棚からマルクスやレーニン、毛沢東などの本も読みあさる。知の巨人の原点を見た感じがしました。

佐藤 知的なものに触れる体験としては、聖書を読んだことも大きかったと思います。聖書にはよくわからない表現もたくさんありますが、わからなくてもとにかく読み進めるわけです。しかも私の場合、塾とは別に、小学校5年生から中学生にかけて、新井義弘先生という牧師の先生が開いていた小さな英語教室の授業も受けていました。そこではキング・ジェームズ版の英訳聖書を暗誦する形で授業が進みました。意味はわからないながらも、音で頭に入れると、あとからいつでも引き出せる。暗記の仕方も聖書の勉強を通じて覚えたことです。
 もう一つは、百科事典を通読したことも知的な養分になったんじゃないかな。

――百科事典を通読ですか!?

この日ももちろん愛用の電子辞書を持参です。

佐藤 当時はまだ、家庭のなかに百科事典を置いておくという百科事典文化があった時代です。父親は二段階に分けて、私に百科事典を買ってくれたんですよ。
 まず小学校1年のときに、学研のこども百科事典を買ってくれた。たしか11巻くらいのセットですけど、これはボロボロになるまで読みました。それが物足りなくなった小学校高学年のときに、平凡社の世界大百科事典を買ってくれました。これを私は中学時代と高校時代に一度ずつ、全35巻を通読しました。だから、ある項目が何巻のどのへんに収録されているかということは大体見当がつくんです。
 平凡社の世界大百科事典は、いまでも電子辞書で持ち歩いています。昨年、セイコーインスツルが発売した電子辞書には、「平凡社改訂新版 世界大百科事典」がすべて収録されているんですよ。それを常にカバンに入れて、空き時間に気になる項目を拾って読んでいます。この百科事典の入った電子辞書は画期的です。
――聞いているだけで欲しくなってきました(笑)。

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佐藤優

作家・元外務省主任分析官。1960年、東京都生まれ。同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。在ロシア日本国大使館勤務等を経て、国際情報局分析第一課主任分析官として活躍。2002年背任等の容疑で逮捕、起訴され、09年上告棄却で執行猶予確定。13年に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失う。著書に『国家の罠』(毎日出版文化賞特別賞受賞)、『自壊する帝国』(新潮ドキュメント賞、大宅壮一ノンフィクション賞受賞)、『私のマルクス』『先生と私』などがある。

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