アナタがいま、メシを食べるとしたらどこに行きますか?
大根 先日、仕事で青森に行ったとき、終わってから数人で飲みに出かけたんです。「地元の人に、おすすめの店とか聞いてみたいなぁ」なんて思いながら歩いていたら、いまどき珍しい流しのオジさんがいたんです。こりゃいいやと、「このあたりで、気軽な居酒屋みたいなところで、おいしいお店ってありませんか?」と尋ねてみました。で、「おぉ、あるよ」と連れて行ってくれたのがチェーン店の居酒屋。「ここ、間違いないよ」って。そりゃ、ある意味、間違いないかもしれないけどさぁ……。
久住 地元の人はよく行くんだけど、世間的にはまったく知られていない店ってまだまだたくさんある。さっきも話しましたが、地方の人は東京から来たというと有名店、高級店に案内したがりますよね。
「僕はラーメンとかでいいんだけど」なんて言っても、「このへんは気の利いた店がないんですよ」なんて返されてしまう。「でも、アナタもラーメン食べたりすることあるでしょ?」なんてさらに尋ねてみると、往々にして「そりゃありますけど、自分が行くのはホントにボロいところで」なんて話になるんです。そこですかさず、「そこ! そこに行きたい!!」とお願いしたりします。
大根 そういう店、すごく気になりますよね。
久住 なるでしょ? 大抵、おいしいんですよ。土地の人に長いこと愛されている味がするんだ。ものすごくおいしい、という大袈裟なものじゃなくて、じんわりおいしい。「普段、この辺で働いている人、お昼なんかどこで食べることが多いですか?」とか聞いて出てくる店。
大根 ああ、そういう流れで名前が出てくる店とか、本当に面白そうだ。
久住 あと、「店が汚い」だの「店員の愛想が悪い」だの「大しておいしくない」だの、誰に何を言われようと、つい出向いてしまうような店ってありませんか? そういう店って一度入っただけじゃ、絶対わからない。でもそういう店が一軒できたときって、物凄く嬉しい。「人がどう言おうが関係ない。俺はここで食う」っていうのがボクの思う野武士的だと思うんですよね。それに、そうした店にまつわるエピソードは聞いているだけでも楽しいし、食べてみたくなるものです。
大根 失敗談とか、本当に楽しいですよね。