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『野武士のグルメ』を味わい尽くす

2014.03.26 公開 ポスト

大根仁×久住昌之対談
最終回 “野武士”とは自分だけの食を大事にする人大根仁/久住昌之

アナタがいま、メシを食べるとしたらどこに行きますか?

大根 先日、仕事で青森に行ったとき、終わってから数人で飲みに出かけたんです。「地元の人に、おすすめの店とか聞いてみたいなぁ」なんて思いながら歩いていたら、いまどき珍しい流しのオジさんがいたんです。こりゃいいやと、「このあたりで、気軽な居酒屋みたいなところで、おいしいお店ってありませんか?」と尋ねてみました。で、「おぉ、あるよ」と連れて行ってくれたのがチェーン店の居酒屋。「ここ、間違いないよ」って。そりゃ、ある意味、間違いないかもしれないけどさぁ……。

久住 地元の人はよく行くんだけど、世間的にはまったく知られていない店ってまだまだたくさんある。さっきも話しましたが、地方の人は東京から来たというと有名店、高級店に案内したがりますよね。
 「僕はラーメンとかでいいんだけど」なんて言っても、「このへんは気の利いた店がないんですよ」なんて返されてしまう。「でも、アナタもラーメン食べたりすることあるでしょ?」なんてさらに尋ねてみると、往々にして「そりゃありますけど、自分が行くのはホントにボロいところで」なんて話になるんです。そこですかさず、「そこ! そこに行きたい!!」とお願いしたりします。

大根 そういう店、すごく気になりますよね。

久住 なるでしょ? 大抵、おいしいんですよ。土地の人に長いこと愛されている味がするんだ。ものすごくおいしい、という大袈裟なものじゃなくて、じんわりおいしい。「普段、この辺で働いている人、お昼なんかどこで食べることが多いですか?」とか聞いて出てくる店。

大根 ああ、そういう流れで名前が出てくる店とか、本当に面白そうだ。

久住 あと、「店が汚い」だの「店員の愛想が悪い」だの「大しておいしくない」だの、誰に何を言われようと、つい出向いてしまうような店ってありませんか? そういう店って一度入っただけじゃ、絶対わからない。でもそういう店が一軒できたときって、物凄く嬉しい。「人がどう言おうが関係ない。俺はここで食う」っていうのがボクの思う野武士的だと思うんですよね。それに、そうした店にまつわるエピソードは聞いているだけでも楽しいし、食べてみたくなるものです。

大根 失敗談とか、本当に楽しいですよね。
 

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『野武士のグルメ』を味わい尽くす

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大根仁

1968年生まれ。ADとしてキャリアをスタートさせ、テレビ演出家・映像ディレクターとして、数々の傑作ドラマ、ミュージックビデオを演出。『劇団演技者。』『週刊真木よう子』『湯けむりスナイパー』など深夜ドラマでその才能をいかんなく発揮し、話題作を連発。業界内外から高い評価を受ける。テレビドラマや舞台の演出を手掛ける傍ら、ラジオパーソナリティ、コラム執筆、イベント主催など幅広く活躍する先鋭的なクリエイター。脚本・演出を手掛けたドラマ『モテキ』(テレビ東京)が2010年7月より放送開始し大ブレイク。待望の映画監督デビューを映画『モテキ』(東宝)にて飾り、映画界に参戦する。

久住昌之

1958年東京都生まれ。マンガ家、ミュージシャン。1981年、和泉晴紀とのコンビ「泉昌之」の『夜行』でマンガ家デビュー。実弟・久住卓也とのユニットQ.B.B.作の『中学生日記』で第45回文藝春秋漫画賞を受賞。谷口ジローとの共著『孤独のグルメ』、水沢悦子との共著『花のズボラ飯』など、マンガ原作者として次々と話題作を発表する一方、エッセイストとしても活躍する。現在、幻冬舎plusにて『漫画版 野武士のグルメ 3rd season』(画:土山しげる)を大好評連載中。

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