原宿はトミー・フェブラリーの曲みたいなイメージ
キラキラしてて、女の子がおしゃれして歩いてて
石黒 それが東京に憧れた強い動機のひとつ?
大石 そうですね。雑誌とかも読んで、このお店行きたいとか、雑貨ひとつにしてもカフェひとつにしても、東京。今は福岡でなんでも手に入るけど、でもやっぱり東京。
石黒 高校のとき、同級生たちは「東京、東京」っていう感じではなかった?
大石 なかったですね。福岡県民の中で東京志向の人って多いと思うんですけど、でも私みたいに東京っていう街自体に恋してる人はいなかった。進路として東京の大学に行くのではなく、東京が好き、だから行きたい。東京に行くっていうより、「原宿に行きたい」ってことなんですけど。青山や六本木までわからなくて、とにかく原宿。その頃の私の中での原宿のイメージは、ラフォーレ、竹下通り、……トミー・フェブラリーの曲みたいなイメージ。キラキラしてて、女の子がおしゃれして歩いてて、素敵な男の人とデートみたいな。今で言うときゃりーぱみゅぱみゅみたいな。実際はそうでもなくて、ごみごみしてるんですけどね。
初めて原宿に行ったのは、多分ちっちゃいときなんです。ちっちゃいときに家族で旅行に行った原宿が、幻想としての原宿として記憶に残っていて。エミリーテンプルキュートの子供服ブランドのシャーリーテンプルの本店が原宿にあって、連れてってもらったことがあるみたいなんですよ、すごく小さいときに。そのときの写真が残っていて、シャーリーテンプルのフリフリのお洋服着て、フリフリの空間でにっこりしてる写真。多分それが原風景なんです、原宿の。その写真で「原宿」がずっと刷り込まれていたんです。実際には行ったことは覚えてないけど、そのエッセンスが記憶の中にしみこんでる。空気は覚えてる。居心地よかったな、とか、かわいいものがいっぱいあって、自分が夢のなかにいるみたいな。それで、「東京」っていうのが出来上がっていて。
石黒 受験が成功して、東京に来た。憧れの原宿が身近になったわけだけど、この5年間の原宿は福岡にいたときの原宿との距離感はどう?
大石 今でも週に3回くらいは行ってますね。人と会うとか何かを見るとか、目的があって行くこともありますし、ちょっと原稿に行き詰まったとき、竹下通りのカフェで書いたりもしますし。今でも好きなことには変わりないですね。落ち着くというか。やっぱり好きだなと思いますね。近くなったからなんかもういいかな、っていう気持ちにはならない。やっぱり思ったより雑多だし、疲れるし、もう馴れてるし。でも、やっぱり、あ、私今、原宿歩いてるよ、っていうか。ずっと好きだった人と一緒にいるような感じというか。
石黒 でも、今日は原宿じゃないな、ってときもある?
大石 あります。相手によっては、この人とは原宿じゃないな、とかいうのはあります。あと、気分によっては、今原宿に行くと疲れちゃうっていうのももちろんあります。そういうときは吉祥寺とかに行くんですけど。
石黒 今、原宿で一番落ち着くところは?
大石 今のお気に入りのカフェは「シーモアグラス」です。大勢の人と会って圧倒されたときとか、頭が整理されてないときとかに行くと、びっくりするほど落ち着いたり整理されたりするんですよね。あそこはすごく好き。だからこの本の原画展もさせてもらえて嬉しいんです。
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