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岸見一郎(哲学者)×原田曜平(博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー)Skype対談

2014.04.04 公開 ポスト

特別企画<br />岸見一郎(哲学者)×原田曜平(博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー)<br />Skype対談 第2回

ねじれた承認欲求が生み出す「嫌われたくなさ」

■アドラーはマイルドヤンキーを肯定する

岸見 そういう若者は、社会に対してどんな「貢献感」を持っているのでしょう。たとえばコンビニのレジ打ちであっても、社会とつながっているとか、地域の共同体の人たちの役に立っているという意識は生まれるのではありませんか。

原田 そういう意識を持っている人はすごく少ないと思います。

岸見 自分しかできない仕事、他の人が自分の代わりにはなり得ない仕事を求めたりもしない?

原田 はい。ただ、大人から見ると諦めているように見えるかもしれませんが、諦めるべきそもそもの「理想」というものを、設定すらしていないんですよ。

岸見 当人は不幸だとは感じてないのでしょうね。

原田 そうでしょう。その証拠に、若い人たちの満足度は近年ずっと上がり続けていますからね。アドラーが現代の日本に生きていたら、彼らにどんな言葉を浴びせると思います?

岸見 彼らが考える共同体があまりに狭いことを別にすれば、マイルドヤンキーに肯定的な発言をするかもしれません。

原田 えっ、そうなんですか!? てっきり否定的に捉えるものかと……。

岸見 『嫌われる勇気』の中の非常な重要なメッセージである「人生とは、今この瞬間をダンスするように生きる、連続する刹那である」という考え方を、彼らは実践しているわけです。どこの学校に入って、何歳で結婚し、マイホームを買って、収入目標はこれくらいで――といったような人生設計をせず、今日1日を楽しむ生き方を、アドラーは「喜ばしい」と言うのではないですかね。

原田 それはじつに興味深いですね。アドラーの思想に俄然興味が湧いてきました。今の若者の生態に肯定的な思想には、めったにお目にかかれないので。

岸見 ぜひこの対談をきっかけに、学んでみてください。「いま、ここ」のことを真剣に考えるのが、アドラー心理学なのです。

 

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