一日一冊読んでいるという”本読み”のアルパカ内田さんが、幻冬舎の刊行作品の中から「今売りたい本」を選び、そして“POP職人”としての腕を振るって、手描きPOPも作ります。
そして、アルパカ内田さんへの「オススメ返し」として、幻冬舎営業部の人気者・コグマ部長からも、一冊ご紹介。
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元カリスマ書店員でPOP職人のブックジャーナリストが売りたい本
第8回 小手鞠るい『情事と事情』
こんにちは。ジョージといえばワシントン。アルパカ内田です。
ニューヨーク州ウッドストック在住の「恋愛小説の女王」から素晴らしい新作が届いた。
幸せの在処を真正面から問いかける熟練の技。嫉妬と憧憬、嘘と真実、信頼と裏切り。渦巻く情愛の中で人生の明と暗が激しく交錯する。「こんなはずじゃなかった」の連続で、アラフォー女性たちの一筋縄ではいかない運命が赤裸々に表現されており、隅から隅まで共感必至。あたかも小洒落た舞台を「とちり席」で観たような臨場感に大満足。飛び切りの群像劇が楽しめる。
数多ある読みどころの中でも、切れ味の鋭いセリフ回しに要注目。それはまるで美しく咲きほこりながら、肌を突き刺す棘を持つ薔薇の花のようである。「本気の恋なんて、子どもっぽい」、「不倫の恋というのは、煩いだ」、「美しい人は、何をしたって、美しい」、「人生は偶然という名の必然でつながっている、一本の電線のようなもの」。行間から醸し出される豊かな余韻が心に響き、忘れがたき色香が漂ってくる。
「わお、だらしない女って、素敵!」という肉声のようなフレーズも脳裏に焼き付き離れない。
どんなに不器用でも無様でもささくれていても、ひたむきに過ごした日々はおしなべて愛おしいのだ。さらになんとも痺れるメッセージが込められた鮮やかなラストも秀逸。巧みに仕掛けられた天から舞い落ちる「オチ」は本当に見事。乾いた日常に潤いを与え、抱きしめたくなるような物語だ。
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アルパカ通信 幻冬舎部
元カリスマ書店員で、POP職人でもある、ブックジャーナリストのアルパカ内田さんが、幻冬舎の新刊の中から、「ぜひ売りたい!」作品をピックアップ。
書評とともに、自作の手描きPOPも公開。
幻冬舎営業部のコグマ部長からの「オススメ返し」もお楽しみください!
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