——勇介と京子を演じるにあたって考えたこと。
大森:僕はそのシーンごとに役を作っていって、じわじわと人物が出来上がってくるのを待つという感じでやっていたんですけど、根本的なところでいったら、どうしようもないヤツだなって思いながらやってましたね。正直なところ、共鳴、共感することは一度もなかったです(笑)。
三輪:でしょうね(笑)。
大森:でも、人として諦めているとか、その感覚は分からなくもないなっていうのは少しありましたね……わからないところばかりだったですけど(笑)。
三輪:もし、勇介のような境遇で生まれてきたら、同じような性格になっていたと思います?
大森:いやぁ~、僕自身はならないと思いますよ。もうちょっとポジティブに世界を渡り抜いていると思います(笑)。
三輪:これまで身近にいたことはないですけど(笑)、勇介みたいな人が本当に慕ってくるじゃないけど、ある意味、助けや愛を求めてきたら、見捨てておけない何かがありますね。そこは京子と共通しているというか。実際に体の関係、夫婦になるかは別として、この人、本当にひどい犯罪を犯すんじゃないかと心配になって、放っておけない気がしますね。
大森:普段から他人を放っておけない性格ですか?
三輪:基本そうですね。世話好きタイプです。京子さんはですね、本当に演じるのが難しかったんですよ。よくわからなくて。実は、いまだにOKの出ていないシーンがあるんですよ。
大森:えっそうなんですか?
三輪:お母さんの死を電話で知らされるところなんですけど。
大森:今度、監督に会ったときにOKもらいましょう(笑)
三輪:榊(監督)さんに実際にやってもらおうと思って。どうやったら正解だったのか、いまだに分からなくて。朝からお昼過ぎまでずっと大森さんをお待たせしたときがあったじゃないですか?
大森:あ~ありましたね、あのときですか。
三輪:もう、次のシーンが詰まっているから、ギリギリまでやったけど、とりあえずここで終わりしようって感じで。結局、何をしたらよかったんだろう~ってモヤモヤしたままで。……どうしたらよかったんですかね?
大森:なんかその追い詰められた感じが欲しかったんじゃないですかね?
三輪:そうなんでしょうかね~。
大森:疲れてきてるところを狙ってたんじゃないですか? そういうのをやりたかったと思うんです、榊監督は。だから、僕もどっと疲れちゃいましたし。さっきの長回しの話も、絡みのシーンを、入っていくところから散々やって出ていくところまで全部1カットでしたから、撮影が終わるとぐったりで。
三輪:私は「いま映画を撮っているのか、AVを撮っているのか、どっちだったっけ?」って錯覚が(笑)。真剣に悩むぐらい、そのシーンだけをずっと撮っている感じだったんですよね。
大森:三輪さんはある意味、強烈なのしかやってないですよね(笑)。今回は撮影の合間とか、現場で三輪さんとはほとんど話すこともなくて。
三輪:相当追い詰められてましたからね(笑)。私から話しかけることもなかったし、完全に入り込んでましたね。
大森:そうだった。大丈夫かな? って思ってました(笑)。
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