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『だからこそ、自分にフェアでなければならない。 プロ登山家・竹内洋岳のルール』刊行記念対談

2014.09.09 公開 ポスト

前編

選手生命が絶たれたとき、身体生命も絶たれる登山家は恵まれている。小林紀晴(写真家)/竹内洋岳(プロ登山家)

靴が汚れない竹内さんがすごい

天狗岳を登る竹内さん。靴が汚れないのは歩き方が違うのだろうか。

小林 そこまで突き詰めて考える人もあまりいないと思います。僕が写真が撮れなくなったとしても、「どうしようかなぁ」という感じになるのかなと。

竹内 でも、思うようにいかないと苦悩はすると思いますよ。小林さんは写真家としての自分と作家としての自分をどのように捉えていますか。

小林 僕は文章と写真では、別人になったみたいに違う感覚です。写真は目の前で突然起きたことに反応していく。ポートレイトを撮らせてもらうときは、その人の機嫌や体調がいいとか悪いとか、難しそうだなとか思ったよりいいものが撮れたなとか、つねに被写体があってこそで、コントロール不可能な部分があります。文章では、自分で取材をするときは事前に調べて質問を考えていきますが、渋いことを言ってもらいたいなというところで竹内さんのようにスルーされたりすることもあるので(笑)、インタビューも反応かも知れないですね。最終的に文章にするときは、たとえば、竹内さんのようにヒマラヤのダイナミックな風景を見てきている方が、きゅっとした箱庭みたいな日本の風景を見たらどう感じるんだろうということを登っているときに考えたな、といったことを思い返しながら書いていきます。それでいうと、八ヶ岳に一緒に登ったとき、竹内さんは地衣類とか地味なものをカメラで撮っていて、けっこう意外だなと思いました。見ているところが興味深かったですね。あとは、靴が汚れないのがすごいなあと(笑)。

竹内 そんなに感心されることだとは思っていませんでした(笑)。

小林 もちろん、登山家の山登りは違うだろうとは思っていたんですけど、岩場とかじゃなくて普通の登山道だから、実際そこまで違わないんじゃないかと思っていたんです。でも速さもすごい。階段を登っていくような速さで行っちゃうから。驚きました。
(→後編に続く)
 

関連書籍

小林紀晴『だからこそ、自分にフェアでなければならない。 プロ登山家・竹内洋岳のルール』

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『だからこそ、自分にフェアでなければならない。 プロ登山家・竹内洋岳のルール』刊行記念対談

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小林紀晴 写真家

1968年長野県生まれ。写真家、作家。1995年「ASIAN JAPANESE」でデビュー。97年「DAYS ASIA」で日本写真協会新人賞、2013年写真展「遠くから来た舟」で第22回林忠彦賞を受賞。著書に『ASIA ROAD』『写真学生』『メモワール 写真家・古屋誠一との二〇年』など。

竹内洋岳 プロ登山家

1971年東京都生まれ。プロ登山家。立正大学客員教授。㈱ICI石井スポーツ所属。高校、大学で山岳部に所属。95年にマカルー登山隊に参加し、8000m峰初登頂。2012年14座目のダウラギリに登頂し、日本人初、世界で29人目の8000m峰14座完全登頂を果たす。

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