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アルパカ通信 幻冬舎部

2024.05.26 公開 ポスト

真梨幸子『教祖の作りかた』/村木嵐『まいまいつぶろ御庭番耳目抄』- 読後もしばらく引きずること間違いなし!の小説2作アルパカ内田(ブックジャーナリスト)/コグマ部長

幻冬舎営業部 コグマ部長からオススメ返し
村木嵐『まいまいつぶろ御庭番耳目抄

二間先の音まで聞こえるが、上様の御言
葉だけ聞き取れない。せめて、お心は解し
たいー。青名半四郎。又の名を、万里。
徳川吉宗・家重の将軍二代に仕えた御庭
番は、江戸城の深奥で、何を見、何を聞い
たのか?

一方、こちらはあの『まいまいつぶろ』の完結編となる作品。口が利けず、体に麻痺がある姿から「まいまいつぶろ(カタツムリ)」と蔑称されていた九代将軍・徳川家重と、その声をただ一人聞き取れる側近・大岡忠光の主従の姿を描いた前作。今回は吉宗の命により「御庭番」となった御徒頭の万里が舞台回しとなる。

この男は隠密として城内、城下を問わず自在に動き、さまざまな場面にそっと影のように立ち会っていた。紀州から出てきた浄円院(吉宗の母)が江戸城で初めて障害を持つ孫を見たときの祖母としての想い。自身が将軍に決まったあとに吉宗が明かした一つの願い。父・家重を敬愛するゆえ、時に反発する嫡男・家治の真意。将軍の言葉を伝えるという自身の役目を家族にも明かさず、周囲から疑念を持たれないよう紙一枚すら受け取るなと家族にも徹底させた忠光の覚悟……。

5篇を通して描かれるのは己の信じる道を黙々と進む登場人物たちの一途な姿だ。今作も、著者の巧みな筆さばきによって読者の涙腺は再び刺激されるだろう。

前作は「日本歴史時代作家協会賞作品賞」「本屋が選ぶ時代小説大賞」を受賞、さらには「直木賞」の候補にもなり、今なお順調に読者を増やし続けている。前作から1年、全国に広がるファンに、この初夏に届いた最高のプレゼントだ!

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アルパカ通信 幻冬舎部

元カリスマ書店員で、POP職人でもある、ブックジャーナリストのアルパカ内田さんが、幻冬舎の新刊の中から、「ぜひ売りたい!」作品をピックアップ。
書評とともに、自作の手描きPOPも公開。

幻冬舎営業部のコグマ部長からの「オススメ返し」もお楽しみください!

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アルパカ内田 ブックジャーナリスト

内田剛(うちだたけし)。ブックジャーナリスト。約30年の書店勤務を経て2020年2月よりフリーランスに。NPO法人本屋大賞実行委員理事で創立メンバーのひとり。文芸書をメインに各種媒体でのレビュー、学校や図書館でのPOP講習会などを行なっている。これまでに作成したPOPは6000枚以上で著書に『POP王の本!』『全国学校図書館POPコンテスト公式本 オススメ本POPの作り方(全2巻)』あり。無類のアルパカ好き。
Twitter @office_alpaka

コグマ部長

太田和美(おおたかずみ)。幻冬舎営業本部で販売促進を担当。本はミステリからノンフィクションまでノンジャンルで読みまくる。アルパカ内田(内田剛)さんとは同学年。巨人ファン。
Twitter @kogumabuchou

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