「谷深ければ山高し」
田畑 FXを始めるとき、どんな始め方がいいと思います?「デモトレードから始めましょう」って言う人が多いですけど、僕は「デモトレード反対派」なんです。
サラ なんで?注文を間違えたりすることがないように最初はデモトレードでやったほうがよくない?
田畑 FXの本当の難しさって、メンタルのコントロールじゃないですか。損したときに焦って取り戻そうとする心を抑えたり、勝っているときに調子に乗らないようにしたり。そういう心の揺れをデモトレードだと味わえないんですよね。サラさんが言うように、たしかに操作方法はデモトレードで覚えたほうがいいですけど、それが終わったらさっさと本番に移ったほうがいい。
サラ たしかに初期に一番大きなテーマになるのは、「いかに平常心でいられるか」。私も、本番で失敗したときはデモトレードに戻って、冷静に流れを読み直したりしてたな。意外と簡単に気持ちの整理ってつかないんですよね。それを実践を通して学ぶということか。
田畑 最初は少額だけ入金すればいいと思います。僕が好きなのは「勝つか学ぶか」という言葉。「勝つか負けるか」じゃないんです。FXをやっていたら負けることも絶対あります。そのときに大切なのは、いかに学ぶか。負けから学んでいれば、いつか必ず勝てる。だから「勝つか負けるか」じゃなくて「勝つか学ぶか」なんです。僕自身は、「1万円で世界経済のこととか理解できるんだったら安い」って割り切るようにしてました。
サラ いい言葉ですね。私の本の章タイトルに、相場の格言を入れているんですけど、6章の見出しは「山高ければ谷深し」。これって「相場が上がれば上がるほど、その後の下落が大きくなるから気をつけて」っていう戒めの言葉なんですけど、サラ流にアレンジすると「谷深ければ山高し」。山じゃなくて谷が先。私、人一倍、逆境が舞い込んできて谷底に何度も突き落とされてきた人生なんですけど、「この谷を抜けたら、眺めのいい山が待っているんだよ」って信じて、突き落とされるたびに這い上がってきたんです。