◆鈴木さんからは無尽蔵にネタが出てくる
――それにしても毎週、この濃度で連載していくのは、ものすごく大変ですよね。どうやって1回1回を作っているんですか。
関根 はい、ものすごく大変です(笑)。まず連載が始まる前にだいぶ打合せをして、最終回までのおおまかな話の筋は全部作ってあるんです。「ネーム」とぼくらが呼んでいる漫画の下書きも、連載開始前に13話分ぐらいはできていました。
――それで肥谷さんが単行本第1巻のあとがきに、「2年間ネームが通らず、何度もやめたいと夜中泣いて走りました」とお書きになってたんですね。
関根 そうでしたね。4話めぐらいまでは、10回は大げさですが、多くのやり直しをすることになってしまいました。
――それはどんなに泣いても泣き足りない(笑)。カズキやサイケたちが行う犯罪の事例は、もちろん鈴木さんが持ってるわけですよね。その素材がまずあって、それをどういう話にしようかというのを、鈴木さんと肥谷さんと関根さんの3人で最初に詰めるんですか。
関根 最初のところは逆なんです。「漫画のストーリーとしてはこういう展開にしたいから、じゃあ、さらにこんなことが起きたらおもしろいですね」とか、「こんなつながり方にしたいなあ」というフィクションのおもしろさを先に作ります。そのあとで鈴木さんに、「このストーリーに当てはまるようなネタとか、犯罪の実例はないですか」と伺うんです。ちょっと無茶振りに近いですけど。
――それは意外でした。
関根 最初はネタが先行だったんですよ。こんなおもしろい実話があるから、それをもとにストーリーを作りましょうと。ただそれだと、そのネタを漫画全体の大きなストーリーにつなげられるかどうかが見えてこない。それよりはストーリーを優先させたい。鈴木さんはものすごい量の取材をなさる方で、『ギャングース』のストーリー制作に携わるようになった今でも、週に2、3本は必ず取材を入れてらっしゃる。だから本当に何でも知っているというか、無尽蔵にネタが出てくる。そこに甘えてしまえるので、そういう形になっていったという経緯があります。
――誰にでもできることではないですね。
関根 自分のわずかな経験からしか言えませんが、この作り方は、鈴木さん一人にしかできないのではと思います。ネタは無尽蔵だし、打合せもそれだけ付き合ってくださる。しかもフィクションならではの事情も理解してくださるところは、本当に奇跡的です。
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★第2回「ケンカすればするほど、よいものができる」は3月23日(月)に掲載予定です。お楽しみに!