◆恥ずかしいぐらいの正義感で取材相手に寄り添い続ける人
――手抜きをしない分、鈴木さんっていつもメチャクチャ忙しそうじゃないですか。
関根 超人的ですよね。お会いして、目が寝てなさそうだなと思うときがよくあります。
――『最貧困女子』が話題になっているので、いろいろな媒体からのインタビュー依頼がとても多いんです。本の宣伝ということからしたら、できるだけ受けていただきたいところなんですが、鈴木さんのルポライターとしてのあり方とか、何をさておいても取材の時間を確保したいというお気持ちは尊重したい。商売も大事ですけど、そこは邪魔してはいけないという気持ちがあります。
関根 今の時代って、日本人が日本の社会全体にものすごく不信感を持っている時代だと思うんです。情報の出どころが限られたところしかなくて、それが真実なのか嘘なのかがわからない不信感のなかで生きている。そんななかで鈴木さんという、ちょっと恥ずかしいぐらいの正義感を持っている人がいる。取材の対象者に寄り添って、ひたすら話を聞こうとして、下手するとお金の援助もしちゃうみたいなことを、10年以上続けられていて、これからも続けようとされている。こんな本当のプロの職業人はなかなかいないんじゃないでしょうか。
適切なたとえかどうかわかりませんが、昔、『千と千尋の神隠し』の公開のときに宮崎駿監督が、主題歌を歌った木村弓さんを紹介するとき、こんなことを言っていました。「現代は本当のプロの職業人が見つかりにくい時代だ。大きなメディアが一番強くて、本物かどうかを見分けにくい」。そういう意味で、鈴木さんって真のプロフェッショナルだなあと思います。
――そうですね。私は初めてお会いする前は、闇の世界を取材している方なので、何かやさぐれたというか、ちょっとそっちの世界系の怖い人なんじゃないかと警戒していたのですが(笑)、実際にお会いしたら、この上なく誠実で優しい。
関根 鈴木さんは、「ルポは売れない」とよくおっしゃるんですけれど、そう言いながらずっと続けているということに、すごい意味がある。経済的にどうなろうが関係なく続けていく。こんなに信頼できる方はいないと思います。
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