-印象に残ったシーンはありますか?
清水 私の屋台の斜め前が、コーイチのイカ焼き屋で、学生でいったら移動教室のときにすれ違うだけの距離感のような。ちょっと離れた向かいで目が合って、笑って…、という感じがちょっと甘酸っぱくて楽しかったです。わー、あのシーンもう1回やりたい!!
ゲッツ 俺は自分のアパートにコーイチを連れてきて話しているシーン。すごい自然でしたよね。興奮しているコーイチを「ここ?」って触るシーンとか、わざとらしくないから全然やらしく見えなくて。リアルで。
清水 リアルって言われるの、すごく嬉しいです。
-一番大変だったシーンは?
清水 「板谷コーイチ、いい名前だよ、それだけでいいよ」と言うシーン。「まだ一緒にいたいなあ」という気持ちがあるなかで言ってるんだなあと思うと、感情がぐるぐる回って、どうしても間がすごく延びちゃう。だからずっと集中してたし、立って話しているだけでも、意外と大変でしたね。
-そのシーンの動きは、あらかじめ作りこまれたんですか?
清水 あんまり「こうしよう」とは考えなかったです。コーイチの状況を見て「自分が背中を押さないと」という目的だけ決めてて、あとは動いてみてどんな感情がわいてくる、といった感じでした。
ゲッツ だからああいう風に自然に出てきたお芝居になるんですね。
全然関係ないんですけど、うちの嫁と試写会にいったときに「板谷コーイチ、いい名前だよ」の台詞で嫁に笑われました。「馬鹿じゃないの、お前はあんな可愛い子に名前を呼ばれて」って言われちゃいましたね(笑)
(後編へつづく)
「ズタボロ」対談
今年5月9日、映画「ズタボロ」が公開されます。それを記念して、原作『メタボロ』『ズタボロ』(幻冬舎)を執筆されたゲッツ板谷さんと、ヒロインの清美役を演じ当サイトでも連載「たぎりにぎり」をもつ清水富美加さんの対談をおこないました。笑い溢れるお二人の対談、全2回に分けてお届けします。(文、写真:伊東朋夏)