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生き方3.0

2013.12.05 公開 ポスト

特集 生き方3.0 國分功一郎×麻木久仁子スペシャル対談

「御用学者」「御用国民」になってはいけない(4/4)麻木久仁子/國分功一郎

前回の記事:國分功一郎×麻木久仁子スペシャル対談(3/4)
 

権力とは距離を取っておくという感覚

麻木 そもそも若い世代は、権力と自分との距離っていうものをあまり考えずに生きてきてる。さっきも言ったように、時間をかけて飼い慣らされてきたわけだから。

 先生の本には「運動を成功させるためなら自民党の人たちとだってつきあう」と書いてあって、それはまさに必要なことなんだけど、自民党と敵対的にでなくつきあおうとするときには、目の前にいるこの人たちは権力を握っている側なんだっていうことをわかっていないといけない。それを重々承知のうえでつきあう人と、「自民党ともつきあえる俺って、さばけてね?」っていう人との間には、雲泥の差があるのよ。

國分 これは悪い意味じゃなくて、いま、麻木さんと僕の世代の違いを感じました。たぶん麻木さんの世代には、まだ「権力は怖いものだから、距離を取っておかないと何をされるかわかんないよ」っていう感覚が残っていたと思うんですね。でも僕らの世代では、もうそういう感覚がなくなっちゃってる。

 そこも、やっぱりバランスなんですよね、安易な結論かもしれないけど。僕、住民運動を応援してて、運動のメンバーから「反対! 反対!」ばっかり言ってちゃダメなんだって、ずいぶん言われたんです。みんなより僕のほうが「反対! 反対!」って言う人間だったから。本に「自民党の人たちとだってつきあう」と書いたのは、そういう経験を踏まえてのことだったんだけど、他方では、自分たちは権力と向き合っているんだという気持ちを絶対に失ってはいけない。そのバランスは難しいですね。

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麻木久仁子

1962年、東京都生まれ。学習院大学法学部中退後、芸能活動を開始。司会者、女優、エッセイスト、コメンテーターなど幅広く活躍。無類の読書好きで、TBSラジオ『麻木久仁子の週刊「ほんなび」』のパーソナリティを務めるほか、人気書評サイトHONZのレビュアーでもある。

國分功一郎

1974年、千葉県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。東京大学大学院総合文化研究科・教養学部准教授。専門は哲学・現代思想。著書に『スピノザの方法』(みすず書房)、『暇と退屈の倫理学』(朝日出版社、第2回紀伊國屋じんぶん大賞受賞、増補新版:太田出版)、『ドゥルーズの哲学原理』(岩波現代全書)、『来るべき民主主義』(幻冬舎新書)、『近代政治哲学』(ちくま新書)、『中動態の世界』(医学書院、第16回小林秀雄賞受賞)、『原子力時代における哲学』(晶文社)、『はじめてのスピノザ』(講談社現代新書)など。訳書に、ジャック・デリダ『マルクスと息子たち』(岩波書店)、ジル・ドゥルーズ『カントの批判哲学』(ちくま学芸文庫)など。

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