1. Home
  2. 生き方
  3. 生き方3.0
  4. 「御用学者」「御用国民」になってはいけな...

生き方3.0

2013.12.05 公開 ポスト

特集 生き方3.0 國分功一郎×麻木久仁子スペシャル対談

「御用学者」「御用国民」になってはいけない(4/4)麻木久仁子/國分功一郎

どうしたら暴走する行政を制御できるのか?

麻木 この本にも、いまの民主主義では法律を執行する行政が実質的な権力を持つようになる、だから立法権を握ってるだけじゃダメなんですよって書いてあるでしょ。

國分 そう、立法では行政を制御できない。

麻木 だから、私、みんなこの本のここ読めよと思ったの(笑)。ここだよ! これこれ! って。

國分 「統治は単なるルールの適用にとどまらない。どんなルールを定めても、実際の統治はそこから離れていく可能性をもっている」(138ページ)というところですね。「主権による立法によって、統治を完全に制御することなど不可能」だ、と(これは政治哲学者の大竹弘二さんの論文に大いに啓発されて書いたところです)。

 日本は民主主義で国民主権と言われているけれど、それは法律によって行政を制御する仕組みであることが前提になっている。でも実際には立法だけで完全に制御するのは不可能です。様々な民主的手続きによって、つねに行政を制御しよう、法の運用過程に関わろうと試み続けるのが、たぶん民主主義なんですよ。

麻木 いい言葉。額に入れて拝みたいぐらい(笑)。

國分 ありがとうございます(笑)。行政はつねに暴走する危険をはらんでいる。民衆はそれを民主的な手続きをもって監視し続け、おかしくなったら引き戻さなくちゃいけない。統治と民衆の間には、そういう緊張関係があることを忘れてはいけない。

{ この記事をシェアする }

生き方3.0

バックナンバー

麻木久仁子

1962年、東京都生まれ。学習院大学法学部中退後、芸能活動を開始。司会者、女優、エッセイスト、コメンテーターなど幅広く活躍。無類の読書好きで、TBSラジオ『麻木久仁子の週刊「ほんなび」』のパーソナリティを務めるほか、人気書評サイトHONZのレビュアーでもある。

國分功一郎

1974年、千葉県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。東京大学大学院総合文化研究科・教養学部准教授。専門は哲学・現代思想。著書に『スピノザの方法』(みすず書房)、『暇と退屈の倫理学』(朝日出版社、第2回紀伊國屋じんぶん大賞受賞、増補新版:太田出版)、『ドゥルーズの哲学原理』(岩波現代全書)、『来るべき民主主義』(幻冬舎新書)、『近代政治哲学』(ちくま新書)、『中動態の世界』(医学書院、第16回小林秀雄賞受賞)、『原子力時代における哲学』(晶文社)、『はじめてのスピノザ』(講談社現代新書)など。訳書に、ジャック・デリダ『マルクスと息子たち』(岩波書店)、ジル・ドゥルーズ『カントの批判哲学』(ちくま学芸文庫)など。

この記事を読んだ人へのおすすめ

幻冬舎plusでできること

  • 日々更新する多彩な連載が読める!

    日々更新する
    多彩な連載が読める!

  • 専用アプリなしで電子書籍が読める!

    専用アプリなしで
    電子書籍が読める!

  • おトクなポイントが貯まる・使える!

    おトクなポイントが
    貯まる・使える!

  • 会員限定イベントに参加できる!

    会員限定イベントに
    参加できる!

  • プレゼント抽選に応募できる!

    プレゼント抽選に
    応募できる!

無料!
会員登録はこちらから
無料会員特典について詳しくはこちら
PAGETOP