60歳にして戦後初の独立系生保を開業した起業家であり、ビジネス界きっての読書家でもある、ライフネット生命株式会社代表取締役会長兼CEOの出口治明さん。
その出口さんの新刊『人生を面白くする 本物の教養』が、好評発売中です。刊行を記念して、本の読みどころを5回にわたってご紹介する、「出口塾」を開講します。
第5回は、第9章「英語はあなたの人生を変える」の抜粋から。
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あなたが世界に目を向けたいと思うなら、英語は不可欠です。事実上、英語が世界共通語(リンガ・フランカ)になってしまっているので、好き嫌いの問題を超えて、もはや英語を避けては通れません。英語力なしにグローバルな舞台へ出て行こうとするのは、クレジットカードや現金(ドル)を持たないで海外旅行をしようとするようなものです。
とはいえ、実際に英語を必要とする仕事に携わる人はまだ少ないし、英語を話す機会も現実にはそれほど多いわけではありません。それは正しい指摘です。
ただ、その一方で、TOEFLで一〇〇点を取れる力があれば、世界が違って見えてくるのも事実です。グーグルで英語検索するだけで情報量は五〜一〇倍以上になり、CNNやBBCもリアルタイムで視聴できます。アングロサクソン系の大学などはさまざまな文献を英語で公開していますから、活用できるフィールドが格段に広がります。ネットを通じてMITの講義を受講することだって可能です。そう考えると世の中が楽しくなるじゃありませんか。
英語を仕事で使うことはないから不要だ、と考えている人は井のなかの蛙です。TOEFL一〇〇点の力を身につければ、そのスキルは死ぬまで消えることのない宝となります。人生が変わると言っても、決して過言ではありません。
いまTOEFL一〇〇点と言いましたが、TOEFLで一〇〇点を取ることはグローバルな人材を目指すうえでの一つの関門です。TOEFLは一二〇点満点なので一〇〇点は八三点レベルです。それがミニマムです。もし、欧米の一流大学へ行きたければ、一一〇点を超えなければ厳しいと言われています。
日本にはTOEICという試験もありますが、世界共通で参照される物差しはTOEFLのほうです。
日本人は中学、高校、大学と英語を勉強しているにもかかわらず、英語力がなかなか上がりません。残念ながら、日本人の英語力はアジア諸国のなかでも最低に近いレベルです。まさに英語教育の内容が問われています。
その現状から考えると、TOEFL一〇〇点は相当に高いハードルのように感じられるかもしれませんが、その気になれば実現は簡単です。経団連、経済同友会、全銀協などのお偉方が一堂に集まり、「今後私たちは、TOEFL一〇〇点のスコアを持ってこなければ一切採用しない」と宣言すれば、それで十分です。大学生は必死になって勉強するでしょうから、日本人の英語力がアップすることは間違いありません。請け合ってもいいと思います。
大学生が四年間の学生生活のうち、たとえば、一年間必死で英語を勉強すれば、TOEFLで一〇〇点を取れるようになります。本人のためにもなるし、日本全体にとっても大きなプラスになります。大人が少し知恵を働かせれば、日本人の英語力を向上させることは十分可能なのです。
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5回にわたってお届けしてきた「出口塾」、今回が最終回です。最後は、出口さんが考える、これからの時代に求められる価値観・人生観について。
ようこそ「出口塾」へ! 「人生を面白くする本物の教養」をお教えします
いま私たちに本当に必要な勉強とは? この問いに、もっとも明快に答えてくれる人物のひとりが、60歳にして戦後初の独立系生保を開業した起業家で、ビジネス界きっての読書家でもある、ライフネット生命保険創業者の出口治明さんです。その出口さんの代表的ベストセラー、『人生を面白くする本物の教養』から、読みどころをご紹介する「出口塾」を開講します!