たった一度の過ちでさえも、過酷な人生を送るのに十分すぎる程の理由になってしまうのだ。この作品には、そんな状況に陥ってしまったが立ち直りたいと願う人たちに、救いの手を差し伸べる人たちがたくさん出てくる。彼らの暖かい気持ちが嬉しい。
やったことは消えないけれども、でも一生懸命頑張れば必ず報われる……。
そんな気持ちになる小説でした。
マルサン書店仲見世店 小川 誠一さん
もし自分や大切な人が事件、事故の当事者になってしまったらどうだろう?
どうするのが正なのか、気持ちをどこへ向ければいいのかとても悩むと思います。凶悪犯ではないけれど、主人公貴生のような事態はすぐ隣に潜んでいるような気がします。
罪が赦されることとはどういうことなのか、考えさせられる作品でした。
社会派というだけでなく、明日への希望を感じるエンターテイメントだと思います。そして、毎晩楽しそうな『プラージュ』の常連になりたいと思うのでした。
SHIBUYA TSUTAYA 内山 はるかさん
とてもあたたかい気持ちで最後のページを閉じた。
皆、自分の"これまで"を消すことは誰もできない。どれだけ後悔しても、またしなくても、それを隠し通すこと、偽り続けることは誰にもできない。
だけど、新しく築いていけるものはゼロではない。初めての感情だったりかけがえのない存在だったりそれは様々だけれど自分を偽らない代わりに得られるものは、決して小さくはない。そう感じました。
紀伊國屋書店横浜みなとみらい店 安田 有希さん
過去の罪を隠し、普段はそれも忘れ、新しい人生を幸せに暮らしている人もいる。その幸せの向こうでいつまでも苦しみから逃れられない被害者やその家族がいるかもしれない。じゃあ、彼らは一生その咎のなかで生きていかねばならないのか……どこまでも問いが続く。自分では答えがだせない。
これは「罪」というものの、ひとつの一面である。その裏側にある別の物語も同時に読んでいる、そんな気がした。
精文館書店中島新町店 久田 かおりさん
誉田哲也王道ミステリー
人気警察小説シリーズ『ストロベリーナイト』や青春スポーツ小説『武士道』シリーズを生んだ誉田哲也さんの最新作『プラージュ』が好評発売中。