だんだん慣れてクセになってほしい
――「どうぶつーズ」はねずみのトニー、うさぎのコニー、ぞうのポニーの3人組です。きくちさんご自身にもこういうお友達がいるんですか? みんな仲がよくて、友達思いなのが伝わってくる。だから、きくちさんにもそういうお友達がいるんだろうなって思って。
きくち そう思ってもらえると嬉しいです。友達はみんなあんな感じのつきあいです。クリエーターの友達は、自分ふくめてみんなフリーターですし(笑)
「どうぶつーズ」の登場人物たちは年齢が27歳と29歳のフリーター。印刷会社を辞めてフリーになったときの自分が27歳だったので、その設定なんです。彼らは僕の投影で、僕の思ったことをみんな出してます。
――このキャラクターたちはどんなふうにして生まれたんですか。
きくち まだ会社にいるときでしたけど、大阪のイベントに行ったとき奈良の雑貨屋さんと知り合って、「いつか商品置いてください」って言われたんです。お店に置くならキャラクターでシリーズものがいいなと思って、動物はみんな好きだから、動物のキャラクターにしようと思って、パパパッと描いて、「よし、できた」。そんな感じで誕生しました。
タイトルはあまりひねりすぎるとヤだなと思って “どうぶつ”と動物園の“ZOO”をあわせて“どうぶつーズ”にしました。
――「ズ」はZOOのズだったんですね。
きくち はい。複数形のズでもあるんですけど。
――絵もストーリーもとても個性的ですよね。だから、万人受けするかっていうと……。
きくち 万人受けはしたいと思ってますけど、しないと感じています。
――で、絵柄はこれ一本。
きくち はい、これ一本です。今はこの幻冬舎plusの連載をまとめた「1P COMIC」をイベントで販売してるんですが、手に取って中を読んで、ちょっと感動したり、おもしろがったりして、だんだんこの絵柄に慣れ、「どうしてもこの絵柄じゃないとダメ」って思ってもらえたら嬉しいです。
――まさに。編集部内でも、じわじわ慣れて、毎週読むのがクセになるって言われます。
きくちさん、今、同じキャラが出てくる「SUPERどうぶつーズ」をリイド社のWebサイト「リイドカフェ」でも連載していますよね。こちらはバリバリのストーリーマンガで隔週。それだけでけっこう大変だと思うんですが、変わらず、毎週欠かさず締切を守って原稿を送ってきてくれて、偉いなー、ありがたいなーと思っています。
きくち えっ、みんなそうじゃないんですか?
――えっと……知らないほうがいいかもしれない(笑)
きくち 幻冬舎の締切は火曜日なので、朝になると「ヤバい、また描かなきゃ」って思って、夜までどうしようかなと考えて、本を見たりネットを見たりしてます。
――ネタ探しで?
きくち 毎回、なにか「いい一言」を伝えたいなって思うんです。その言葉が決まって、それを伝えるには、どういうことがあって、誰が出てきて、どういうシチュエーションになったらその一言が出てくるかを考えて描いています。特に何もない回もありますが!
――とても遅い時間に原稿が届くときもありますが、締切は守りますよね。もともと几帳面なんですか?
きくち いや、そんなことはないです。火曜日はいつも憂鬱だし(笑)。でも、「毎週金曜日は『どうぶつーズ』の日」と思って読んでくれている人を、「今日はないんだ」とガッカリさせてはいけないと思うので。
――今後はどんな仕事をしたいとか、将来の展望はありますか?
きくち まず「どうぶつーズ」をできるところまで続けることですね。ドカンと売れるより、安定して続けていきたい。
あとは、人間をキャラクターにしたマンガも描いてみたいかな。
――「どうぶつーズ」って、絵はインパクトが強くて、ちょっと毒もあって、でも読むとどこかほんわかして、感動もする。とてもいい感じの作風だと思います。
きくち ありがとうございます。ぼく自身も、読んで元気になったり感動したりする作品を手元に置いておきたいので、自分もそういうものを描いていきたいんです。
――あと、連載マンガを描くだけじゃなく、イベントに出たり、LINEスタンプやグッズを売ったりと、ドカンと派手じゃないけど、安定した柱をいくつも持ってやっている。ビジネス書的に言う「小商い(こあきない)」のスタイルが、新しい働き方だなって思います。
きくち 最近は「小商い」の人が増えてきている感はありますよね。
――絵柄は「どうぶつーズ」一本で、営業しないで、歯を食いしばった感じもしないで(笑)、安定しているのも、素敵な感じです。
きくち 継続は力と信じて頑張ります!
――では最後に、「どうぶつーズ」ファンの皆さんにメッセージをお願いします。
きくち これから「どうぶつーズの漫画」をよろしくお願いします!
それから、リイドカフェの「SUPERどうぶつーズ」は1ページものではなくストーリーマンガで、こちらは幻冬舎plusとはまた違って、アクションシーンなんかもあるので、ぜひ読んでみてください!