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糖尿病がイヤなら歯を磨きなさい

2018.03.29 公開 ポスト

知っていましたか? お口とお腹で進行中の恐ろしい事態西田亙

高血圧、脳梗塞、心筋梗塞も「慢性炎症」の仕業

 歯のまわりや脂肪細胞でボヤが起きたときに出る悪玉ホルモンの煙は、インスリンが効きづらい状態をつくり、血糖値を上げ、糖尿病の原因になります。また、血圧を上げたり、不整脈を起こしたりもします。

 悪玉ホルモンがする「悪さ」はこれだけではありません。悪玉ホルモンは血管を傷つけ、それにより血管に「プラーク」という物質がたまります(歯周病の原因である「歯垢」も同じ「プラーク」と呼ぶことに注目です)。プラークがたまると、血管は狭く固くなります。これが動脈硬化です。

 動脈硬化が起こると、血栓ができやすくなり、はがれた血栓が脳の血管に詰まると脳梗塞、心臓の血管に詰まると心筋梗塞になります。
 
 昔は、太った人のお腹はたんなる脂肪の塊だと思われていました。それが実は、ただの〝脂身〞ではなく、人体でも最大の悪玉ホルモンをつくる工場だということがわかってきたのです。

 お父さんのお腹まわりのサイズがもし85センチを超えていたら(お母さんは90センチ)、内臓脂肪がボヤを起こし、そのボヤから悪玉ホルモンがたくさん出ていることをイメージしましょう。

 以上のように、歯のまわりで起きているボヤも内臓脂肪で起きているボヤも、場所と原因は違うものの、同じ「慢性炎症」で、どちらも糖尿病の原因になっているのです。

イラスト:坂木浩子

 

気づかれないまま長く続くから恐ろしい

 厄介なのは、歯周病で歯が浮くときも、太ってお腹がポンと出たときも、39〜40℃の高熱は出ない、ということです。

 神様が人間の体を、お腹が出てくると毎日40℃の発熱が続くようにつくっておられたら、メタボや糖尿病がここまで増えることはなかったかもしれませんが、残念ながらそうはなっていません。歯周病も糖尿病も、小さなボヤで発熱も痛みもないので、気づかれないまま、3年、5年、10年と長く続きます。それが恐ろしい事態を引き起こします。

 ボヤを起こすときに出る悪玉ホルモンは、血管にダメージを与えます。あとでもお話しするように、血管の傷みは、老化を加速させる最大の原因です。

 大火事が起きても短時間で消火すれば血管へのダメージは少なくて済みます。これに対して、たとえ小さなボヤであっても、長く続くと血管に与えられるダメージは非常に大きくなります(動脈硬化)。それにより、健康寿命が損なわれるのです。

 * * *
 では慢性炎症を鎮火させるにはどうすればいいのか? 詳しくは『糖尿病がイヤなら歯を磨きなさい―ー内科医が教えるお口と体の新常識』をお読みいただけると幸いです。

 

 

 

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西田亙

医学博士・糖尿病専門医。広島市生まれ。愛媛大学医学部卒業。同大学大学院医学系研究科修了。大阪大学での基礎研究生活を経て、2012年、愛媛県松山市に、にしだわたる糖尿病内科を開院。糖尿病の予防を啓発することを使命とし、医科歯科連携の重要性を伝えるために全国各地でセミナーや講演を実施している。

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