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パリごはん

2010.01.15 公開 ポスト

雨宮塔子の食事日記40雨宮塔子

12月19日

今宵も呼んでいただいちゃいました。フジテレビの元アナウンサーの同期、平松あゆみちゃんのお宅に。

 今夜のメニューは手巻き寿司。大皿に海老、錦糸玉子、干し椎茸、グリーンピース、インゲン、白胡麻、人参といった具が、目にも鮮やかに盛り付けられている。
 人参が紅葉型にくりぬかれているところに、京都で暮らしていたあゆみの“もてなしの心”が表れているわ、と魅入っていたら、彼女は、「あぁ、そうだ、忘れてた」と言って、白身魚にピンクや黄色、黄緑のみじん粉(蒸して干したもち米をひいて粉にしたもの)をまぶしつけて揚げ始めた。みじん粉!! まさに京懐石のよう。これを子供たちが食べる、食べる。息子などは、好物の鶏の唐揚げよりも気に入ったようで、「あゆみちゃんちのごはん、おいしいっ」を連発する。うん、この白身魚のみじん粉揚げはさっそく真似させてもらおう。

 この家でいただいて以来、我が家の定番にもなったものに、今夜の手巻き寿司の具材にもあった、干し椎茸の煮付けがある。うっすらと甘味を感じる上品な味わいのそれを、彼女は常に作り置いているという。椎茸をそれほど得意としない息子が、この煮付けだけは進んで食べる。
 大人には、シャンパンに合わせる前菜として先ほどの白身魚のみじん粉揚げと、海老の頭をあぶったものを用意してくれた。この海老、身の方は薄口しょう油とお酒少々で和えておいたものを軽く茹でて、手巻き寿司の具にしたのだけれど、頭の方はミソがびっしり詰まっていたので、あぶってお酒のつまみにしてみたのだそう。サクサクと噛みしめると、ミソの溶け出した汁がじんわり出てきて、これが塩少々を振りかけて、オーブントースターで焼いただけとは思えないほどの濃厚なコクを湛えた一品になるのでした。つまみが絶品だと、お酒も本当に進むものですね。昨夜の酒量を考えて今夜は控えようと思っていたのに、クイクイいってしまいました。

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パリごはん

パリでパティシエの夫とふたりの子どもと暮らす雨宮塔子さんが、日々のおいしい食事、パリでの日常を綴る日記エッセイ。

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雨宮塔子

1970年生まれ。東京都出身。 成城大学文芸学部卒業後、東京放送(TBS)に入社。 「どうぶつ奇想天外!」「チューボーですよ!」」等の人気番組を担当する。 99年3月TBSを退社し、単身パリに遊学。フランス語、西洋美術史を学ぶ。 02年パティスリー・サダハル・アオキ・パリのオーナーシェフ、 青木定治氏と結婚、03年長女を、05年長男を出産する。 現在はフリーキャスター、リポーター、エッセイストとして活躍。 著書に『金曜日のパリ』(小学館)『それからのパリ』(祥電社) 『小さなパリジェンヌ』(小学館)がある。 http://www.puntolinea.jp/amemiya.html

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