12月24日
お菓子で季節を感じることが、フランスでも少なくない。
例えばパネトーニ。このドライフルーツが入った菓子パンが出回ると、ノエル(クリスマス)の到来なのだ。
パネトーニというと、イタリアがイメージだった。旅行先のミラノやフィレンツェのパン屋さんやスーパーで、よく箱に入ったパネトーニに出合っていたから。なんでも、天然酵母を用いているので三カ月ぐらい日持ちするらしい。保存食としても利用できるので、パネトーニは一年中、季節を問わず売っているのだけれど、ここ、フランスでは、やはりクリスマスシーズンに華やかにお目見えする。
今、彼の店に並んでいるのは、トップをショコラでコーティングし、黄色や黄緑といった鮮やかな水玉のショコラやオレンジピール、ナッツ類をちりばめたもの。セロファンで包装し、両端をリボンで留めて、キャンディーのように見立てている。切り分けて食べると、ブリオッシュに似た風味。ただ、イーストで発酵させるブリオッシュに比べて、天然酵母を使ったパネトーニは独特の生地の目としっとり感を持つ。濃い目に淹れたカフェと共に朝食にし、イブの今日の一日が始まる。
去年に引き続き、彼のラボ(工場)に持っていく太巻き寿司を作る。ノリノリも大葉とチーズの鶏のはさも揚げを作って参戦してくれた。
夕方に差し入れを届けてから、これまた恒例のノリノリの家でのフェット(パーティ)。今年はまりちゃん(ゴージャス美人な友人)が、通っている料理教室で習ったフォアグラを仕込んでくれたこともあって、メニューはそれを中心に、ノエルらしいものでまとまった。
前菜に、マルシェで購入した帆立のカルパッチョ、ゆず胡椒添え、“BYZANCE”のスモークサーモンとイクラ、そしてイベリコハム、まりちゃんの力作、フォアグラのテリーヌ、軽くトーストしたブリオッシュを添えて。
あとはベビーシッターをしてくれているあきよさんが14区にあるパリ一というお肉屋さんで並んでまで買ってきてくれたお肉のパイ包みを切り分け、ボンゴレパスタで締め。
デザートは去年買ったエッフェル塔のクリスマスケーキが可愛いかったので、再び“ラデュレ”のものを。チョコレートのマカロンを一面にデコレーションしてサパン(モミの木)に見立てたノエルのスペシャルガトーは、ショコラにココナッツの風味を加えた濃厚なお菓子でした。
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パリごはん
パリでパティシエの夫とふたりの子どもと暮らす雨宮塔子さんが、日々のおいしい食事、パリでの日常を綴る日記エッセイ。