東京のど真ん中に残された手付かずの原生林と湿地帯
そして、東京の真ん中で手付かずの自然を観察できるのが、国立科学博物館附属自然教育園である。白金台と目黒駅の間に、広大な原生林と湿地が残されているのだ。自然教育園の生い立ちは、いまから500年ほど前の中世の豪族の館だといわれている。明治時代には軍隊の火薬庫になり、大正時代には御料地(皇室の所有地)になったので、ずっと人が入れない特別なエリアになっていた。そして、ほとんど手付かずの自然が、奇跡的に残されたのだ。1949年には、こうした原生林や湿地の全域が、天然記念物および史跡に指定され、保存されるとともに、一般にも公開されるようになった。
しかし、高度経済成長期には、首都高速2号線が上を突っ切って通る計画が発表されたり、常に開発される危険にさらされていた。地元住民の反対や、自然保護団体の努力の甲斐もあり、結局、高速道路はこの原生林を迂回して建設されることになった。
東京のど真ん中に、こんな自然が残っているとは本当に驚きである。鬱蒼と生い茂る森の中を歩くと、様々な野草や、カルガモやカワセミなどの野鳥を見ることができる。湿地には、メダカやモツゴ、ヨシノボリなどが生息している。資料によると、約700種の植物が生育しているそうだ。また、約1400種の昆虫、約120種の鳥類が生育している。ゲンジボタルやオニヤンマも、まだ、都心に生きているのだ。
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理性と欲望の東京ガイド
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