■消費税を再増税しても財政再建はできない
――点検会合のメンバーを見ても、ほとんどのメンバーは増税賛成派です。ごく一部のリフレーション政策にも賛同している方が、増税への反対を表明されているという構図でした。政治勢力として見た場合、いわゆるリフレ派はいまだ少数派なのでしょうか?
片岡 私も若田部先生も、内閣府や財務省の事務方が決めたメンバーではありません。当初案のメンバーには増税反対派は一人もいませんでした。私たちが後から入ることになったのは、何も正しいことを主張していると認められたわけではなく、官邸が何とか押し込んだ結果なんです。悲しいことですが、政治力学の問題なんですね。
――再増税派の「大義」になっているのはやはり財政再建だと思いますが、再増税しても財政健全化にはつながらないと指摘されています。
片岡 増税をしないで、2015年度にプライマリーバランスの赤字を半減させるという目標をどう達成するのかという疑問に、私なりの答えを示しています。
経済成長がしっかりと継続できれば、つまりアベノミクスがきちんと完遂できれば、赤字半減は確実に達成できます。もちろん不測の事態が、首相が増税延期時に「天変地異」とか「リーマンショック級の危機」と言ったのと同じようなことが起きれば、100%達成できるとはいえませんが。
他方で、では消費税をきちんと上げていれば達成できるかといえば、これは確実に達成できません。足元の経済状況から推計して、スケジュール通りに2015年10月に消費税を上げていたら、政府が見通しているような経済成長率はとうてい達成できません。政府が想定していた「成長率を維持しながら消費税を上げて、財政を健全化する」という話は、もとより達成不可能だったんです。そもそも両立しないんです。
必要なことは、まずは成長を重視しながら国民生活をより豊かなものにして、その過程で税収を増やして、財政健全化目標を達成できるような枠組みを作っていくことです。来年以降の消費税や財政、社会保障をめぐる議論の主戦場は、成長の可否になるのではないでしょうか。
ポイントは3つです。まずは日銀法改正などを行い、政府のリーダーシップで日銀がより適切な金融政策を行うために枠組みを構築すること。さらに経済政策の中身をより合目的な、効率的な政策に変えていくこと。成長と財政健全化の関係性を明確にして、社会保障の財源もしっかりと確保すること。このように考えています。
(第2回に続く)