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「日本一有名なニート」と「クマムシ博士」の、ニッチ的生き方のすすめ

2015.09.02 公開 ポスト

第3回

「ずっと寝てたい」と言ってもいい社会pha/堀川大樹

 ◆倫理だって時代とともに変わる

堀川 たぶん人づきあいも煩わしく思ってる人が多いのかなと思って。特に家族関係とか。家族関係って1か0かみたいな感じがあるじゃないですか。強すぎるんですよね。つながり方がね。ずっと家に一緒にいなきゃいけないとか、婚姻関係のつながりが強すぎちゃって。もっとゆるくてもいいんじゃないかなと。

pha  今回の著書にも書いたんですが、家族関係ってもうちょっとゆるやかになったらいいと思うんですけどね。もっといろんな家族の形があっていい。

堀川 そうですよね。わりと最近は同性婚も認められてきましたし、いずれテクノロジーで同性の間からの子どもをつくれる時代にもなる。どっちか一方から精子をつくって、もう一方から卵子をiPS細胞とかでつくって、受精させたらできますからね。あるいはクローンもできたりするし。テクノロジー的にもそれはいずれ実現してもおかしくないですし。

pha  そのうちそういう世の中になるんでしょうね。なかなか倫理的に認められるには時間がかかるのかもしれないけど。

堀川倫理なんていうのは、時代とともに変わっていくので。だからいまphaさんが新しいってなってるけど、それが10年後にはもう当たり前すぎる感じになってるかもしれないですしね。僕みたいな人間も当たり前になってくるかもしれないし。

pha  そういえば、クマムシは雌だけで繁殖するんですよね。

堀川 そうなんです。ヨコヅナクマムシは、雌ばかりで、雄はいません。雌は交尾をせずに卵をつくって産みます。ドラゴンボールに出てくるナメック星人も、交尾をせずに口から卵を吐き出します。あれと同じですね。ナメック星人もみんな雌なんですよ。

pha  じゃあ、クローン的に増えていくからもうずっと遺伝子は一緒っていう感じなんですか?

堀川 基本的にそういうことですよね。もちろん、時間がたてばDNAに変異が蓄積したり、他の生物からの遺伝子が入り込んだりして、進化はしますが。

pha  おもしろいですね。

堀川 そうそう、お聞きしたかったのが、ニートって不可避的にニートになるのか、能動的にニートになるのか、どういう感じなんですか?

pha  どうなんですかね。どっちもいると思いますけど。

堀川 phaさんの場合は能動的にニートになったわけじゃないですか。

pha 不可避的になる人も多いんじゃないですかね。でも、それで選択肢がないとかになるとキツいので、もうちょっとゆるくニートから脱出できる道があったらいいなと思う。本当に不可避的にニートになって、それしかできない状態だと辛いと思うので、行ったり来たりできたらいいなって思うんですけどね。

堀川 なる時もあれば、ならない時もあるみたいな感じで。

pha  ちょっとゆるく、ニートでも人とのつながりを持ち続けたりとか、「ちょっと仕事を手伝わないか」とか誘われて行ってみたりとか、そういう道がいっぱいあればいいと思うし。あっても、探しづらかったりするんですよね。だから、就活に失敗したら絶望してしまうとかあるのかもしれません。本当はいろいろあると思うんですけどね。

堀川 そういう生き方のトレーニング法みたいなものがあるといいですね。仕組みがあれば、もっとみんなやるかもしれない。

関連書籍

pha『持たない幸福論 働きたくない、家族を作らない、お金に縛られない』

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「日本一有名なニート」と「クマムシ博士」の、ニッチ的生き方のすすめ

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pha

1978年生まれ。大阪府出身。京都大学卒業後、就職したものの働きたくなくて社内ニートになる。2007年に退職して上京。定職につかず「ニート」を名乗りつつ、ネットの仲間を集めてシェアハウスを作る。2019年にシェアハウスを解散して、一人暮らしに。著書は『持たない幸福論』『がんばらない練習』『どこでもいいからどこかへ行きたい』(いずれも幻冬舎)、『しないことリスト』(大和書房)、『人生の土台となる読書 』(ダイヤモンド社)など多数。現在は、文筆活動を行いながら、東京・高円寺の書店、蟹ブックスでスタッフとして勤務している。Xアカウント:@pha

 

堀川大樹

1978年生まれ。北海道大学大学院地球環境科学研究科博士課程修了。地球科学博士。NASA Ames Research center研究員、AXAポスドクフェロー、パリ第五大学および仏国立衛生医学研究所研究員を経て、慶應義塾大学SFC上席所員。著書に『クマムシ博士の「最強生物」学講座 私が愛した生きものたち』(新潮社)、『クマムシ研究日誌 地上最強生物に恋して』(東海大学出版部)がある。

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