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生き方3.0

2013.11.29 公開 ポスト

特集 生き方3.0 國分功一郎×麻木久仁子スペシャル対談

國分さんが学者をやめて運動家になっちゃうのかと心配だった(3/4)麻木久仁子/國分功一郎

どの集会に行っても、いる人が同じ

國分 僕、大学のときはわりと左翼っぽい学生だったと思うんですけど、あの頃の体験は、いまの僕の運動への関わり方にかなり影響を与えていて……。

麻木 どんなふうに?

國分 別に何もやってなかったんですけど、「社会運動に関心を持たなければいけない」という意識だけがすごく強くあった。哲学・思想をやってる先輩がみんなそうだったから、僕もそうならなきゃいけないんだろう、と。それで、いろんな人の後についていくんだけど、どの集会へ行っても、いつも同じ人がいるんですよね。あの頃は関心を持っていた領域がエイズとか同性愛差別とかフェミニズムとか、かなり近接する領域だったからかもしれないけど。

麻木 そういうテーマは、土台になる問題意識に共通してるところがあるから。同性愛差別に興味を持った人がフェミニズムに興味を持たないっていうことはないだろうし、外国人差別に興味を持った人が、朝鮮学校をめぐる問題に興味を持たないっていうのも変な話だから、どこへ行っても毎回同じ人がいるのはしょうがないかも。問題は、興味を持つ人の裾野がそもそも狭いから、同じ人だけで回っちゃうことなんだろうね。

じゃあなんで裾野が広がらないかというと、話が元へ戻っちゃうけど、それぞれの問題について政治的な意見を持つとウザいと思われる社会だから。なかなかそういうことを身近なところで話しにくい。だから結局、ものすごくやる気出してる人ばかりが目立っちゃう。

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麻木久仁子

1962年、東京都生まれ。学習院大学法学部中退後、芸能活動を開始。司会者、女優、エッセイスト、コメンテーターなど幅広く活躍。無類の読書好きで、TBSラジオ『麻木久仁子の週刊「ほんなび」』のパーソナリティを務めるほか、人気書評サイトHONZのレビュアーでもある。

國分功一郎

1974年、千葉県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。東京大学大学院総合文化研究科・教養学部准教授。専門は哲学・現代思想。著書に『スピノザの方法』(みすず書房)、『暇と退屈の倫理学』(朝日出版社、第2回紀伊國屋じんぶん大賞受賞、増補新版:太田出版)、『ドゥルーズの哲学原理』(岩波現代全書)、『来るべき民主主義』(幻冬舎新書)、『近代政治哲学』(ちくま新書)、『中動態の世界』(医学書院、第16回小林秀雄賞受賞)、『原子力時代における哲学』(晶文社)、『はじめてのスピノザ』(講談社現代新書)など。訳書に、ジャック・デリダ『マルクスと息子たち』(岩波書店)、ジル・ドゥルーズ『カントの批判哲学』(ちくま学芸文庫)など。

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