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生き方3.0

2013.11.29 公開 ポスト

特集 生き方3.0 國分功一郎×麻木久仁子スペシャル対談

國分さんが学者をやめて運動家になっちゃうのかと心配だった(3/4)麻木久仁子/國分功一郎

知識人が「中道やや体制寄り」になることの危うさ

麻木 「左翼縛り」はあんまりピンと来ないけど、その空気はなんとなく想像がつく。左翼縛りがなくなって、自分は保守だっていうことも言えるようになったんだよね。ただ、國分先生の世代の人たちには、左翼縛りから解放されて「更地」になったのかどうかってことを考えてほしいと、おばちゃんとしては思うわけ。

 というのは、若い言論人の言うことをおばちゃん頭で聞いてると、最近ちょっと思うんだな。少し前まで、「何でも左側に言っときゃいいよ」とか、「中道やや左寄りって楽だよね」的な時代があったのは事実。なんだけど、左翼縛りがとれたからって、中道やや右寄りにいりゃいいってもんじゃないだろうって。

 特に学者さん、知識人階級の人たちね。まず最近の知識人は、遠慮してるのか謙遜してるのか知らないけど、自分たちが知識人階級だっていうことを必死に否定する。でもあなた方は厳然としてインテリゲンチャなんだ、そこを見て見ないふりをすべきじゃない、と私は思ってるの。

 そのうえで、その人たちが、できるだけ楽に自分のポジションを確保しようとして「中道やや左」「中道やや非体制寄り」にいるならまだいいけど、楽をするために「中道やや体制寄り」「体制とのバランス感覚重視」に行ったら、権力にとってこんな便利なことはない。だって知識人がどんどん御用学者になってくれるわけだから。

國分 厳しいご意見です。

麻木 ごめんね(笑)。

國分 いやいや、すごく重要なことをおっしゃっている。権力のシーソーが権力を持っている側のほうにますます傾いちゃうわけですよね。

麻木 そう、もっと厄介なのは、自分が御用学者を務めてるっていう自覚がないままに、お先棒を担がされている知識人。これほど危ないものはないでしょ?

國分 それは本当に気をつけなきゃいけない。(第4回に続く)

この対談は全4回です。最終回〈「御用国民」「御用学者」になってはいけない〉は12月5日掲載予定です。

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麻木久仁子

1962年、東京都生まれ。学習院大学法学部中退後、芸能活動を開始。司会者、女優、エッセイスト、コメンテーターなど幅広く活躍。無類の読書好きで、TBSラジオ『麻木久仁子の週刊「ほんなび」』のパーソナリティを務めるほか、人気書評サイトHONZのレビュアーでもある。

國分功一郎

1974年、千葉県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。東京大学大学院総合文化研究科・教養学部准教授。専門は哲学・現代思想。著書に『スピノザの方法』(みすず書房)、『暇と退屈の倫理学』(朝日出版社、第2回紀伊國屋じんぶん大賞受賞、増補新版:太田出版)、『ドゥルーズの哲学原理』(岩波現代全書)、『来るべき民主主義』(幻冬舎新書)、『近代政治哲学』(ちくま新書)、『中動態の世界』(医学書院、第16回小林秀雄賞受賞)、『原子力時代における哲学』(晶文社)、『はじめてのスピノザ』(講談社現代新書)など。訳書に、ジャック・デリダ『マルクスと息子たち』(岩波書店)、ジル・ドゥルーズ『カントの批判哲学』(ちくま学芸文庫)など。

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