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『その青の、その先の、』が素晴らしすぎる!

2013.11.23 公開 ポスト

特別対談 椰月美智子×樋口毅宏

『その青の、その先の、』が素晴らしすぎる!(最終回)椰月美智子/樋口毅宏

椰月美智子の書き方、樋口毅宏の書き方

椰月 さっきも「何も考えないで書いている」って言ったけど、私、プロットを全然立てないんですよ。

樋口 えっ、そうなの?

椰月 その場で書いていくので。だから結末もいつも決まってなくて、物語の着地点を自分の感覚で探しながら書いていく感じ。

樋口 ホントかよ(笑)。あなた、本当に天才ですね。

椰月 天才じゃないけどね(笑)。逆に、プロット書くというほうが信じられない。最初に物語の全体像が見えているという、そのほうがすごいです。尊敬です。

樋口 ある程度は頭の中で組み立てるでしょ?

椰月 うーん、あんまり(笑)。

樋口 書く時に出て来るんだ。

椰月 書く時に。

樋口 怖えーっ、何なんだ、それ。そっちのほうがすごいよ。

椰月 樋口さんはどうしてる?

樋口 着地は決めてある。

椰月 あ、ほんと?

樋口 着地点を決めておけば、どんなに道に迷おうとも、どんなに高い山に登ろうと、深い谷を下ろうと、「いいじゃん、最後はあそこなんだから。ゴールは決まってるんだから」って思えるし。

椰月 そうか。私はね、ある場面のシーンが写真のように何枚かあって、そこに向かって行くっていう感じ。通過点、通過点っていう感じで。

樋口 やっぱり、風景?

椰月 風景っていうより場面。

樋口 場面が思い浮かんで、それを文字にしていくような感じか。わかるわかる。でも、そうだったのか。椰月さんって、インタビューでも、あまり自分のことを語らないというか、そういうふうにして書いてるって知らなかったよ。

椰月 特に話すべきことは何も持っていないし(笑)。小説についても、読者の皆さんが自由に読んでくれたらいいな、って思ってて。どういう解釈をしてもらっても全然構わない。

樋口 僕の小説って、バンバン人を撃ち殺しちゃったり、男も女も見境なくヤリまくるんだけど、そんな僕でもね、椰月さんの小説の”そこはかとない輝き”にグッとくるんですよ。この優しさは貴重なんですよ。現代に必要なものなんですよ。

椰月 大げさだよ(笑)。

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椰月美智子/樋口毅宏

椰月美智子 1970年神奈川県生まれ。2001年『十二歳』で第42回講談社児童文学賞を受賞しデビュー。『しずかな日々』で07年に第45回野間児童文芸賞、08年に第23回坪田譲治文学賞を受賞。他の著書に『恋愛小説』『体育座りで、空を見上げて』『どんまいっ!』『みきわめ検定』『枝付き干し蒲萄とワイングラス』『かっこうの親 もずの子ども』『るり姉』『ダリアの笑顔』『シロ シロクビハダ』『フリン』『坂道の向こう』などがある。

樋口毅宏 1971年東京都豊島区雑司ヶ谷生まれ。作家。出版社勤務を経て、09年『さらば雑司が谷』で小説家デビュー。著書の『雑司ケ谷R.I.P』『日本のセックス』『民宿雪国』『テロルのすべて』『二十五の瞳』『ルック・バック・イン・アンガー』『タモリ論』がある。

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