意地を張らず素直に甘える
坂 僕は妻がまだ元気だから、そこまで周りの人が言ってくることは無いけれど。だけど、例えば僕の先輩が、会社の社長とか会長を長年されていたんですけど、奥さまをやっぱりがんで亡くされて。そういう方を、ときどき色々な遊びにお誘いするとかはやりますね。大したことをしているわけじゃないけど。何人かで遊ぶときに誘うとかね。
西田 坂さんにしても僕にしても、それなりに一生懸命生きてきたら、意地を張るんだよね。「いや、いいです。大丈夫です。僕は自分で何とかします」という、そういう意地を張る。
僕も最初、頑張らねばと思ったわけ。女房がいないから服装が乱れてきたとか、そういうことを言われちゃ嫌だ、とかいうような気持ちで最初頑張っていたけど、みんながいろいろと声をかけてくださったら、もうそれは素直に「ありがとう。じゃあお願いします」と言うべきだと思い始めた。もう、何か言われたらとにかく「ありがとう」と。「先生、ご飯を食べに行きますか」「ありがとう。一緒に行くわ」という。
それが結構大事なのかも分からない。
例えば、若い人と食事に行くでしょう、現役のときに。大学の医者なんて、実はそんなに給料は良くないんですよ。メディアの印象で思っているよりも。で、若い時って子どもが進学したとか、なにかとお金がいるでしょ。だから僕は絶対に若い人に払わさないで「いいよ、俺が持つよ」と。
ところが最近は「先生、今回は私たちが持ちます」と言ってくれる。若いといっても50、60の先生たちだけど。それでも今までは「いや、いいよ」と、今までどおり断っていたんだけど、半年ぐらい前からかな、「先生、何かさせてください」と言ってくれた先生がいてね。そこで、これはごちそうになるということがその先生たちにとっても、いいことなんだなと思って。さっき坂さんがおっしゃったけど、「西田先生を呼び出して、一緒にきょう晩ご飯を食べよう」という、その気遣いなんだろうね。
だから「きょうはごちそうになるわ」と、それを素直に言えるようになることが大事かな、と。
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