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気持ちのいいことが、好き。「“官能”と“快楽”の回路を開くために」

2014.01.14 公開 ポスト

特集<気持ちのいいことが、好き。>

第1回 頭の中にたくさんの小部屋をつくる人生の極意植島啓司/湯山玲子

「好きな人にしか私の官能は引き出せない」は大ウソ

2012年に出版された上野千鶴子さんと湯山さんの対談本。植島さんが湯山さんに会いたいと思うにいたったきっかけの本です。

植島 『快楽上等!』によると、40代がマックスだったの?
湯山 なにが? 性欲が?
植島 そう、性欲の話。
湯山 何で省略してるんですか(笑)。
植島 ちょっとね、ちょっと言いにくかった(笑)。10年ちょっと前ぐらいまで言われなかったですよね。
湯山 言われなかった。女の人のマスターベーションもないことにしてましたからね。40歳前後でイライラしたりする時、私はもう完全に自分のムラムラだと思ったんですけど、それを世間の女性たちは、「更年期前はいろいろ不安定だ」って言うんですよ。女性は、そういうことを言語化できないのかってすごく苛立ちましたよね。だから『四十路越え!』ではそれをオープンにして、「違うよ」って言ったんです。イライラではなくて、きちんとその中にムラムラがあるんでございますよ、ということをね。
ただ、女が自分の性欲をはっきり自覚して行動を起こした時に、世の中のいままでの既存のモラルやシステムは壊れていくので、やっぱり体制は嫌いますよね。
植島 女の人は、結婚しててもしてなくても、好きな人とセックスすることは抵抗がなくって、そうじゃない人とセックスするのは抵抗あるっていうのが一般に言われていることじゃない。でも、本当にそうなのかなって、ずっと思ってた。
湯山 私はね、「男女にかけられたロマンティックラブの呪い」って言ってるんですけどね(笑)。女の人って、生きていく上での二律背反というか、ダブルスタンダードをうまく使うので、言っていることを信用しないほうがいい。性欲に関しても、好きな人にしか官能は引き出せないっていうのは大ウソ、大ウソ(笑)。好きじゃないほうが燃えて、最愛の人だとけっこうダメという人も多い(笑)。
植島 絶対そうですよね(笑)。 

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植島啓司

1947年東京生まれ。宗教人類学者。東京大学卒業。東京大学大学院人文科学研究科(宗教学専攻)博士課程修了。シカゴ大学大学院に留学後、NYニュースクール・フォー・ソーシャルリサーチ客員教授、関西大学教授、人間総合科学大学教授などを歴任。著書に『快楽は悪か』(朝日新聞出版)、『男が女になる病気』(朝日出版社)、『賭ける魂』(講談社現代新書)、『聖地の想像力』、『偶然のチカラ』、『世界遺産 神々の眠る「熊野」を歩く』、『生きるチカラ』『日本の聖地ベスト100』(いずれも集英社新書)、『熊野 神と仏』(原書房、共著)、監訳『図説 聖地への旅』(原書房)など。

湯山玲子

著述家、プロデューサー。日本大学芸術学部文芸学科非常勤講師。自らが寿司を握るユニット「美人寿司」、クラシックを爆音で聴く「爆音クラシック(通称・爆クラ)」を主宰するなど多彩に活動。現場主義をモットーに、クラブカルチャー、映画、音楽、食、ファッションなど、カルチャー界全般を牽引する。著書に『クラブカルチャー』(毎日新聞社)、『四十路越え!』(角川文庫)、『女装する女』(新潮新書)、『女ひとり寿司』(幻冬舎文庫)、『ベルばら手帖』(マガジンハウス)、『快楽上等!』(上野千鶴子さんとの共著。幻冬舎)、『男をこじらせる前に 男がリアルにツラい時代の処方箋』(KADOKAWA)などがある。

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