皆様こんにちは。第55次日本南極観測隊・調理隊員の竪谷です。日本は桜が散って、はやゴールデンウイークの時期でしょうか? こちら南極昭和基地では、最近ブリザードの連続攻撃を喰らい、除雪作業が本格化してきました。この記事を書いている今日も外は猛吹雪、外出注意令(!)発令中であります。
前回はひな祭りの後、オーロラ写真で終わりました。今回はこの辺から始めて行くことにします。まずはこれ。何だと思いますか?
これ、ガリンガリンに凍った冷凍キャベツなんですよ~。しかも日本からはるばる持ち込んだ国産もの。採れたてをすぐに冷凍したのでとても新鮮(!?)、南極ではとても貴重な野菜のひとつなんです。以前、水耕栽培で収穫したフレッシュ野菜が食べられると書きました。でもやはり収穫量が少ないため、野菜などはほとんど、こういった冷凍もので対応せざるをえません。もやしや小松菜 大根だって冷凍です。多くの人が「え~~っ!?」と思うことでしょう。
で、それらは「美味しいのか」って? 野暮なこと聞いちゃいけませんよ。そこはほれ、日本一過酷でリーズナブルで美味しい居酒屋で修業を積んできた、腕の見せどころってやつです。みんな「美味しい」って言ってくれてますし(気をつかってる?(笑))
たとえばこのキャベツはその日、お昼ごはんの焼うどんの具になりました。
ほら、みんなどんどん取り皿に取ってる。黙々とだけど……(もっと楽しそうにと言ったんだけどねー。u~m……)。キャベツは万能野菜なので、ほかにもスープやサラダなど、色々な場面に登場してきます。
3月7日。純!和風昼ごはん「鯵の開き定食」。やっぱりこういうの食べないと日本人は落ち着かないよね~。
ある日、風呂で一緒になった気水圏のM隊員から、下町の小さな餃子専門店へ行った時のように「焼き餃子だけでお腹いっぱいになりたい!」、それと「飲み物は冷た~いビールで!」「それが僕の今の夢なんだ」と聞かされた。お~! なんということ!! 天才的な頭脳をお持ちの貴方が夢にまで見た「餃子ナイト」を叶えてあげましょう。……ということで、みんな1週間頑張って働いた週末に、やっちゃいました!
この日は徹頭徹尾、餃子しか焼きませんでした。男達よ目指せ1人30ヶ!「挑戦者出てこいやぁ~~!!!」のコールで戦闘開始。行列ができ、最初の皿はあっという間に完食。すると、「後ろの人のことも考えてくれよ~!」と気象のS隊員。あわや仲間割れ、不穏な雰囲気が立ち込める……。
「食べ物の恨みは怖い」と昔から言います。数分後、焼けた次の皿が運ばれた時は、全員一致で、空腹でイラ立ち目を三角にさせたS隊員にまず取っていただくことに。かくして事態は丸く収まったのでありました(笑)。
冷た~いビールと一緒に、みんな、すごい勢いで餃子を胃袋へと平らげていきます。そして「もう水も入らないっ!」と次々と脱落していく若い隊員達をしり目に、最後まで残ったのがオヤジ隊員達。「若いのは最初から飛ばし過ぎなんだよぉ~」「こーいうのは淡々と行かなくちゃぁ~」と余裕の一言。その後も延々と焼き続け、結局1人平均30ヶを超える、合計768ヶを見事完食したのでありました。
調理隊員の一言「こっちは焼き疲れました~ぁ」
南極調理隊タテヤの越冬日記
南極ではどんな暮らしをしているの? 何を食べてるの? 第55次南極観測隊・調理担当隊員タテヤが、昭和基地での日々をレポートします。
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